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南区 人物風土記

公開日:2011.06.02

神奈川県看護賞を受賞した「みやした助産院」の院長
宮下 美代子さん
三春台在住 57歳

幸せと健康運ぶ”母親の母親”



 ○…10人の受賞者のうち唯一の助産師。「先輩も受賞しており、賞の重さを感じる」と感想を語り、「この賞が後輩の育成につながってくれれば」とも願う。



 ○…高校生の時、病気で看護師らと接することがあり、人を助ける仕事を意識し、看護学校へ進学。働き始めたころ、病院の産婦人科では人手不足が常態化。夜間に助産師がいない中、出産を迎えることもあった。この状況を改善しようと、自ら助産師になることを決意。1990年、平楽に助産院を開院。その後は地域の医療施設と連携し、「母乳外来」も行ってきた。「少しずつ認めてもらい、信頼関係を築いていった」。3年前に三春台に移転し、今では年間100人以上の出産を支える。また、看護学校の講師としても多忙だ。



 ○…母乳育児の大切さを訴え、年間延べ3千人の母親を外来などで支援する。「人が乳を飲むのは生きるために当然のこと」。統計では生後1か月の段階で母乳だけを与えている母親は半数以下だという。「母乳は子どもだけではなく、母親の心も体も健康になる」と言葉に力が入る。「母乳育児の親子からは幸せな表情が見えてくる」と自信を持って語れるのは、数多くの母親と一緒に育児の悩みに向き合ってきたからこそ。



 ○…北海道生まれ。家の裏が山だったことから、スキーが得意。海外旅行に出掛けるのが好きで、「そこで日本の楽器が演奏できれば」と三味線を2年前から始めた。「まだ助産院のスタッフに見せるレベル」と笑う。自身も一男一女の母親。長男が子どものころ「何でほかのお母さんは仕事をしてないの」というほど、母親の仕事を理解していた。そんな長男も結婚し、今では妻のサポートに徹し、家庭の時間を何より大切にしているという。この30年で「孤独な母親が多くなった」とも感じる。「母親に家にいるような安心感を与えられる場にしたい」。これからも”母親の母親”として悩みと笑顔を分かち合っていく。

 

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