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南区 人物風土記

公開日:2018.06.14

将棋の「アマチュア竜王戦」に神奈川県代表として出場する
小山 怜央さん
大岡在住 24歳

冷静に勝ちを読み切る



 〇…4月、県代表を決める予選で優勝。6月下旬に東京で行われる全国大会に駒を進めた。就職に伴い、故郷の岩手を離れ、春から南区に住み始めたばかり。「岩手と比べて神奈川はレベルが高く、不安だった」と言うが、”神奈川デビュー”でいきなりの優勝。岩手代表として臨んだ2016年のアマ竜王戦は無念の準Vだっただけに、「全力を出し切れば」と頂点を目指す。



 〇…小学2年生の夏、入院し、病院での生活を余儀なくされた。それまで家ではゲームばかりやっていた少年に母親が将棋セットを用意した。瞬間的な楽しさを享受できるゲームに比べて地味な印象の将棋。当初は戸惑ったが、地元の将棋道場に通い始めるのと同時にインターネットを使った対局で力を付け、楽しさを覚えた。「勝つことが好きだった」。5年生で岩手県代表、中学1年の時には全国3位に入った。



 〇…高校2年生の時、東日本大震災で自宅が津波に飲まれた。避難所では父親のノートパソコンでネット対局をすることで心を落ち着けた。岩手県立大時代は学生名人など、主要タイトルを総なめ。「初めての全国優勝は忘れられない」という。15年にはアマ名人戦を制し、ハンデ戦ながらも当時の羽生善治名人と戦った。「オーラに圧倒された」。結果は完敗だったが、これまでにプロ棋士からは2勝(8敗)を挙げている。



 〇…春からシステムエンジニアとして働く。昨今の将棋ブームで「自己紹介がしやすくなった」と笑う。「論理的に組み立てていくところは仕事も将棋も同じ」と冷静に分析して語る。得意な戦法はオーソドックスな「居飛車」。「この指し手は自分のものだと言われるようにしたい」と語る24歳は勝気な性格でアマの頂点を目指し、自らの勝利を読み切ろうとしている。

 

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