一歩踏み出す勇気を

　○…「コロナ禍でも音楽の魅力を発信したい」という情熱を胸に、ＹｏｕＴｕｂｅに楽器の練習動画を投稿する。ギター初心者が挫折しない練習方法やドラムスティックの選び方など、内容は多岐にわたる。教室の生徒には、一人ひとりのニーズに合った動画を提供するなど、サービス精神が旺盛だ。「知恵を絞り、今できることはチャレンジする」と前を向く。

　○…今は４５０人が通う教室も、創業した２００３年から１年間は深刻な生徒不足に苦しんだ。そんな時、音楽活動を通じて知り合ったロックバンド「ゴダイゴ」のミッキー吉野さんの「教えるなら本当に音楽を習いたいという気持ちの人にだけ教えるべき」という言葉が心に響いた。「どなたでも大歓迎」という教室方針を「やる気のある方大歓迎」に改めると、意欲のある生徒が着実に集まった。「目指すは『ＧＵＩＴＡＲの東大』。教室を最高峰の教育機関に成長させたい」と意欲を燃やす。

　○…六つ川台小と六ツ川中に通った地元っ子。「幼少期に大丸町内会で土器作りに挑戦したことなど、思い出がつまった場所」と話し、故郷に教室を開業した。「20代前半のころに留学したアメリカのまちは音楽に満ちあふれ、にぎやかだった。南区が『音楽のまち』といわれるような取り組みを行っていきたい」と夢が膨らむ。

　○…有名な音楽家を多く輩出するバークリー音楽大学を卒業したが、意外にも中学時代の音楽の成績は「２」で苦手だったという。「何事も苦手だからといって、すぐに諦めてしまうのはもったいない。向き不向きは本気で取り組んだ後に判断すること」。高校卒業後に音楽も英語も分からないまま渡米した自身の経験があるからこそ、その言葉に力を感じた。