南太田駅そばのレンタルシェアキッチン「シムズキッチン」が通信販売などの店舗を持たない飲食店を支えている。新型コロナウイルスの影響で人との接触を極力控える営業形態が推奨される中、店主の営業意欲を促進。月1回、同キッチンの登録者で企画する「ミニマルシェ」の開催のサポートも行い、住民と店の関係構築としての機能も担う。
シェアキッチンとは、複数人が調理場を共有できる場所。販売する飲食物は菓子製造業許可や飲食営業許可などを取得したキッチンで調理する必要があるため、店舗を持たない事業者にとって生命線となる。
シムズキッチンは会員制で1人に付き1時間500円から利用できる。昨年6月に同所を立ち上げた志村直樹さん=人物風土記で紹介=は「菓子製造と飲食店の機能を持つシェアキッチンは南区では珍しい」と話す。
知人の声 ヒントに
志村さんは3歳から20歳まで南太田で暮らし、現在は町田市でリフォーム店を経営する。「何かしらの形で地元の活性化に貢献できれば」との思いで、2019年に空き家だった実家を改装して民泊を始めた。
順調に営業していた矢先、新型コロナの影響でキャンセルが相次ぎ、経営が困難になった。そんな時、通信販売の菓子店を営む知人の「菓子製造ができる場所があれば」との声がヒントに。昨年6月、建物の2階を改装してシェアキッチンを作った。コロナ禍で非接触型のサービスが求められる中、「遠方のキッチンまで行かなくて済む」など喜びの声が上がった。
より多くの人のニーズに応えようと、その後は1階も改装し、民泊を廃業。現在は菓子製造許可付きのキッチンが2つ、飲食営業許可付きのカフェが1つ設備されている。さらなるスペースの拡張を目指し、今も増築工事に取り組んでいる。
マルシェで交流
志村さんは普段は接客する機会がない店主が地域住民と交流し、商品を宣伝できる場を設けようと、キッチンの会員同士で企画する「ミニマルシェ」の開催を提案。1月から月1回、会員主導で行っている。
志村さんは「自分を育ててくれた南太田に感謝し、まちに良い変化を与え続ける工夫を凝らしていきたい」と話し、新たなイベントも検討する。
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