コロナ禍で大きな打撃を受けた蒔田町の「旅館松島」が老朽化していた旅館の男子風呂の改修を目的にしたクラウドファンディング(CF)を2月15日まで行っている。売上の柱だった修学旅行の利用がほぼなくなる中、旅館側は「今後、受け入れが可能になった時にきれいで大きなお風呂に入ってほしい」としており、支援を呼び掛けている。
市内唯一の場所
旅館松島は明治17年創業で140年近い歴史がある。松島によると、横浜市内には修学旅行を扱うホテルは約30軒あるが、旅館は松島だけだという。「落ち着いた雰囲気の旅館の方が良い」と修学旅行で継続して利用する学校が多かった。
男子風呂の改修構想はコロナ禍前から進んでいた。1986年に作られた風呂は、浴槽の底の部分にひびが入っている。これまでは自力で修繕してきたが、劣化もあり、浴槽を大きくしようという計画があった。松島は「今後、コロナが収束し、修学旅行やスポーツ団体を受け入れられるようになった時、広くてきれいなお風呂に入ってほしい」と改修を決めた。
工事だけで約600万円が必要。昨年11月から始めたCFでは、その他の経費も含めて800万円を目標とした。旅館の常連客にも呼び掛けた結果、これまでにCFと合わせ、約200人から約500万円が集まった。すでに工事を始め、2月中に完成する予定。
コロナで売上7割減
毎年、約50校を受け入れていた修学旅行は、コロナ禍で利用がほぼゼロになった。夏休みや冬休みに横浜近郊で行われるスポーツの全国大会のために利用する学校、チームもあり、年末年始に開催される全国高校サッカー選手権の出場校が使うこともあった。そうした利用もなくなり、旅館全体の売上はコロナ前から約7割減となり、大打撃を受けている。
売上確保のため、旅館併設の料理店「松風苑」は持ち帰り弁当の販売を進めている。国や県などのさまざまな助成金を活用し、従業員を雇用したまま経営を続けているが、依然として苦しい状況が続いている。
松島の女将・島田紀子さんは「横浜に修学旅行、スポーツ団体を受け入れられる旅館を残したいという一心で取り組んでいる」と話し、支援を呼び掛けている。
CFの受け付けは2月15日まで。問い合わせは旅館松島【電話】045・731・2720。
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