自宅で県立こども医療センターの患者の家族の宿泊を受け入れている 佐伯 トシコさん 六ツ川在勤 79歳
患者と家族に安心提供
○…港南区芹が谷の自宅を改装し、1999年から2階の3室を六ツ川の県立こども医療センターに子どもが通う家族の宿泊場所として提供している。「利用者は自分の家族同然」という思いから、宿泊場所を「よこはまファミリーハウス」と名付けた。
○…岩手県出身。高校卒業後、川崎市内の病院に事務職として入職。23歳で夫とともに芹が谷に引っ越し、70年に設立されたこども医療センターのオープニングスタッフとして転職した。地域の病院では治療が難しいとされる子どもが全国から訪れ、交通費や宿泊費が家族の家計を圧迫する。病院周辺に宿泊施設がなく、経済的に余裕がないので、子どもの母親から「バス停のベンチで夜を明かした」という話を聞くたびに心を痛めていた。「せめて、家族が安心して眠れる場所があれば」―。その一心で、自宅を建て替える機会に2階を宿泊場所として提供することにした。「父は旅館を予約できなかった旅人を自宅に泊めるような人だった。困っている人を放っておけないのは遺伝かな」とにっこり。
○…水道光熱費などの負担が増え、やむを得ず、中学生以上は宿泊料を有料としているが、「本当は無料で提供したい」と胸中を語る。認定NPO法人「スマイルオブキッズ」が運営する六ツ川の宿泊施設「リラのいえ」では、2008年の設立時から今年3月まで施設長を務めた。リラのいえが満室になれば、自宅で受け入れるなど、今でもNPOのスタッフとして活動する。
○…70歳からピアノを始めるなど、チャレンジ精神旺盛。今は自宅で育てた野菜を使った保存食の開発に熱を注ぐ。コロナ禍が落ち着き、カンボジアやモンゴルへの旅行も決まっており、アクティブな日々を送る。
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