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公開日:2023.11.30

永田東
歴史的建造物の「登り窯」
12月2日、一般公開

  • 保存されている登り釜(2017年撮影)

 大正期に永田で活動していた陶芸家・井上良斎が使っていた永田東の登り窯を公開するイベントを12月2日に市民団体が行う。9月に横浜市歴史的建造物に登録された登り窯で良斎の作品を見られる貴重な機会となる。

当時のまま保存

 市は個性的、魅力的な歴史的景観を保全するために、近代建築、古民家などを「歴史的建造物」として登録している。11月27日時点で212件の登録があり、南区では登り窯のほか、井土ケ谷上町第一町内会館や吉野橋が登録されている。

 登り窯は傾斜地を利用して陶磁器を焼く部屋が階段状に連なったもの。熱効率が良く、大量の焼き物を作るのに適する。井上良斎の登り窯は市内で唯一のれんが造りの登り窯で、陶磁器の産業遺産に登録されている。谷戸の自然環境が良好に残り、9月に市の歴史的建造物に登録された。

 良斎は登り窯を主に作品を海外へ輸出するための商業用として使っていた。今は使われていないが、窯や陶器を焼く際に実際に使われていた道具や焼き跡などがそのまま保存されている。

次世代に語り継ぐ

 良斎の孫の川井興一さんは永田の歴史を次世代に継承しようと、2000年、地元有志とともに「登り窯と永田の自然を守る会」を設立。これまで定期的に登り窯で小学生を対象とした陶芸教室や、敷地内に咲くニホンタンポポを鑑賞するイベントを開催してきた。コロナ禍以降は「登り窯を見せてほしい」という連絡があった場合のみ公開する体制を敷く。

 登り窯がある南永田山王台地区は、地域活性化を目指す住民有志で構成される「ふるさと創生の会」の活動が活発。メンバーの堀木一男さんらは地域コーディネーターや永田地域ケアプラザの職員らとともに、登り窯と永田の自然を守る会の支援団体「登り窯まるごと整備プロジェクト」をこのほど立ち上げた。地域に登り窯の歴史を語り継ぎ、コロナ禍で希薄化した住民のコミュニティーを再構築しようと、12月2日にイベントを行うことにした。

イベントで住民交流

 イベントはオリジナルブランド茶を飲みながら登り窯を見学。博物館などの学芸員がガイドし、登り窯の敷地内にある樹齢250年を超えるカキの木なども鑑賞できる。

 所在地は永田東1の31の12。午前10時から正午。参加費無料。詳細は川井さん【電話】045・741・3478。

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