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保土ケ谷区 コラム

公開日:2022.01.20

日蓮宗樹源寺 副住職 日比宣仁 連載10
法話箋 〜鹿苑〜
「十界(じゅっかい)と仏性(ぶっしょう)」

 インドで成立した仏教は中国に伝えられ、様々な教理が追加されました。それによって、中国仏教という独自の思想が体系化され、それは日本思想に多大な影響を及ぼしました。その中でも、十界説(じゅっかいせつ)(地獄(じごく)・餓鬼(がき)・畜生(ちくしょう)・修羅(しゅら)・人(にん)・天(てん)・声聞(しょうもん)・縁覚(えんがく)・菩薩(ぼさつ)・仏(ぶつ))は有名な教義の一つです。同説では、心の中に十界が具わると考えます。つまり、私たちは、時には地獄の鬼のような苦しみに苛(さいな)まれます。また、欲を貪(むさぼ)る餓鬼や畜生のような心に囚われたり、修羅のような葛藤もあるでしょう。一方、人を慈愛の念で見護る菩薩や仏のような優しい心になることもあります。



 ここで注目すべきは、どの人の心にも、仏界があると説くことです。生きとし生けるものには、仏の性質がある。この考え方を、仏性思想(ぶっしょうしそう)と呼びます。



 世知辛い世の中でも、自己にも他者にも必ず仏の性質があると信じ、他者を敬う気持ちを大切にすることは仏教が推奨することの一つです。

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