日蓮宗樹源寺 副住職 日比宣仁 連載13 法話箋 〜鹿苑〜 「心の中の地獄と仏」
人類は何度も戦争をし、何百万もの尊い命が奪われ、何回も反省をしてきました。それにも拘らず、ロシアがウクライナを占領するように、人は戦争を繰り返します。その点、人は悲しい愚かな生き物です。
「一心十界(いっしんじゅっかい)」(『法華玄義釈籤(ほっけげんぎしゃくせん)』巻九、大正三三・八八九頁下)という言葉はこのことを端的に表しています。つまり、我々人間一人ひとりの心には、地獄(じごく)・餓鬼(がき)・畜生(ちくしょう)・修羅(しゅら)・人(にん)・天(てん)・声聞(しょうもん)・縁覚(えんがく)・菩薩(ぼさつ)・仏(ぶつ)の十界が具わっています。
戦争をしている時、奪い合いをしている時、人を蹴落とそうとしている時、親を疎かにする時、その人の心は地獄界の様相を呈しているのでしょう。しかし、上記のように、人間の心に仏界の要素がある以上、我々は毎日の朝日に感謝をし、全力を尽くして善行を積む能力も備えているのです。それに気づくか気づかないかで、その人の人生は大きく変わるのではないでしょうか。
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