保土ケ谷区 コラム
公開日:2022.10.13
日蓮宗樹源寺 副住職 日比宣仁 連載18
法話箋 〜鹿苑〜
「口業(くごう)について」
言霊(ことだま)とは、言葉に宿るチカラです。優しく穏やかな言葉には、人の心を温めるチカラがあります。冷たく乱雑な言葉には、人の心に傷をつけてしまうチカラがあります。古来、日本人はこのような見えないチカラを信じてきました。
一方、釈迦は言葉のことを口業(くごう)と呼びます。業とは行為のことであり、口業は口の行い(つまり言葉)という意味です。口業には悪・善の二種があります。悪口業(あっくごう)は、妄語(もうご)(嘘)・両舌(りょうぜつ)(二枚舌)・悪口(あっく)(汚い罵り)・綺語(きご)(真実にはないことを都合よく付け加えた言葉)の四種であり、善口業(ぜんくごう)はそれらを離れることです。仏教では、業はその行為をなした本人の潜在意識に残溜すると考えます。つまり悪口業を行(ぎょう)じると、悪いチカラが自身の深層心理に溜まり、それは自己の人格の一分となる。善口業の場合はその逆です。
以上の言霊と仏教の思想を併せ考えれば、言葉遣いは周囲のみでなく、自己にも大きな影響を与えると言えるでしょう。
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