保土ケ谷区 コラム
公開日:2022.11.17
日蓮宗樹源寺 副住職 日比宣仁 連載19
法話箋 〜鹿苑〜
「宗教について」
「宗教」は、早くも『華厳経(けごんきょう)』(4世紀頃に梵語(ぼんご)から中国語に翻訳)や『法華玄義(ほっけげんぎ)』(6世紀頃に中国で編纂)等の仏教経論に見られる言葉であり、「教えの旨」という意味があります。例えば、「天台(てんだい)の宗教」と言えば、これは「天台の教えの旨」、或は「天台の教えの大事な点」という意味になるでしょう。この場合の「宗教」には、現代日本人が連想する、「見えないものに対する信仰」という語義はありません。
さて、江戸末期(19世紀頃)、「宗教」という語は、英語の「religion(レリジョン)」の日本語訳に用いられ、現代語として採用されました。「religion」は、「神聖なるものに対する信仰」という意味合いが強い言葉です。この翻訳が契機となり、現代日本語としての「宗教」には、「信仰」という意味が含まれることになったのです。逆に言えば、長い歴史を持つ日本語の中で、現代語としての「宗教」にはさほど重い意味はないとも考えられるでしょう。
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