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保土ケ谷区 人物風土記

公開日:2022.11.24

全盲のピアニストとして坂本小学校で演奏と講演を行った
久保 智さん
仏向町在住 52歳

人前での演奏は幸せ

 ○…生まれつき視覚障害がある「全盲のピアニスト」として楽曲提供や福祉施設での演奏などを長年行ってきた。自宅から近い坂本小で、この秋から授業の場でピアノの演奏を児童に披露している。「人前での演奏は久しぶり。誰かのために演奏できるというのは幸せですね」と喜びをかみしめる。

 ○…昔から「音楽が好きで仕方なかった」と4歳でピアノを習い始め、中学生の時には合唱コンクールの伴奏を担当。鍵盤の位置は感覚で覚えた。人前でピアノを弾く楽しさに目覚め、音大卒業後は作曲家としてミュージカル作品などへの楽曲提供をしてきた。自身のYouTubeチャンネル「久保さとしの部屋」では、シンセサイザーで作ったオリジナル楽曲などを公開。自然豊かな開発前の港北ニュータウンで遊んだ幼少期の記憶をどこか悲しみを帯びたメロディーで表現するなど、情景が浮かぶ楽曲が並ぶ。

 ○…目が見えないことで遊びの輪に入れなかった小学生時代、ボタン操作と音声で楽しめる電子ゲーム機「ゲームロボット九」との出会いが友人との輪を取り戻してくれた。30代半ばの頃。その後継機の開発者と偶然出会い、新作のBGMの作曲を手掛けることに。「どんな立場の人でも平等に遊べる製品であって欲しい」と音楽を提供した「ゲームロボット50」は、障害の有無に関わらず大人から子どもまで楽しめる脳トレゲーム機として親しまれている。

 ○…坂本小での講演では、こうしたバリアフリーへの思いも児童たちに伝えている。「見えないために娯楽に参加できない人って多くいるんです。娯楽は人と人を結びつける窓口で、お互いを理解するきっかけになれる。その環境を作っていけたら」

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