保土ケ谷区 コラム
公開日:2023.04.20
日蓮宗樹源寺 権住職 日比(ヒビ)宣仁(センジン) 連載24
法話箋 〜鹿苑〜
「大いなる瞑想」
六世紀に中国(隋(ずい))で記された『摩訶止観(まかしかん)』は、瞑想法をまとめた書物です。「摩訶(まか)」とは、古代インド語の「maha(マハー)」の音訳で、「大いなる」という意味です。「止観(しかん)」とは、瞑想のことです。つまり、この本は「大いなる瞑想」を主題とします。
瞑想は心を安定させる手段であり、心の安定は客観的に物事を観察(かんざつ)して正しい判断をすることに繋がります。正しい判断を智慧(ちえ)といいます。智慧を得ることを仏教では悟りと呼びます。
『摩訶止観』が説き明かす瞑想法は、必ずしも坐禅を組み、目を閉じて行うものではありません。すなわち、同書では、日常生活を送りながら、生活の営みの中で心の平静を得て、自身の現状を客観的に把握して、その中に悟りの境地を見出すことが推奨されているのです。
一日一日それぞれの人が各々の境涯に存在し、そこで喜怒哀楽を感じることができる。その境涯自体が、実は尊い悟りの場所であるはずです。
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