保土ケ谷区 コラム
公開日:2023.12.21
日蓮宗樹源寺 権住職 日比(ヒビ)宣仁(センジン) 連載32
法話箋 〜鹿苑〜
「呉音と漢音」
漢字の音には、呉音(ゴオン)と漢音(カンオン)があります。呉音は平安期に大陸から伝来した仏典を僧侶が日本語で読む際に用いた音です。
つまりこれは、比叡山の読み音と言えます。漢音は江戸期の国学者(本居宣長など)が使った読み音です。例えば「行」の呉音は「ギョウ」、漢音は「コウ」。「定」の呉音は「ジョウ」、漢音は「テイ」。「乳」の呉音は「ニュウ」で、漢音は「ジュ」です。「禅定修行」を「ゼンジョウシュギョウ」と読むのはこれが仏教用語であり呉音読みを踏襲するからです。一方「定期」「旅行」は「テイキ」「リョコウ」と読み、この場合は漢音に則っています。
注目すべきは、「乳」のように、私たちが普段、呉音を主だって使用する例です。誰も「牛乳」を「ギュウジュ」とは読みません。これは比叡山以来の文化が現代語に生きている証拠と言えます。但し、呉音で徹底するならば「牛乳」は「ゴニュウ」と読みたいものです。「牛」の呉音は「ゴ」だからです。
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