withコロナの社会において、活動の土台になるのは、感染対策という名の安全と安心だ。その土台を徹底的に追求した上で、今できる最大限の満足を届けたい――そう願い、10月20日、ようやく再開したのがキリンビール横浜工場の工場見学=生麦。休止から8カ月、200本以上のデモツアーを経てたどり着いた”新見学様式”を取材した。
ビールの素材にふれ、作り手の思いも感じられるとして人気の同工場見学ツアー。コロナ前は、1回あたり団体客で最大50人、一般でも35人のツアーを1日19本実施し、昨年は国内外から15万人が訪れた。
そのツアーが休止したのは、3月1日から。政府による全国小中高への臨時休校要請とほぼ同時期からだった。20分間隔で催行していたツアー、密は避けられない状況に、休止はやむを得なかった。
デモツアー200本
再開に向けた動きは、休止後すぐから取り組んだ。まず優先したのは、利用者と従業員の安全。感染防止対策だった。
見学中の立ち位置やガイド方法など、何度も試行錯誤を重ねた。ガイド同士で実践し、気づいた点を修正していく地道な作業。濃厚接触者にならないための工夫も取り入れるなど、あらゆる想定で試した。
繰り返したデモツアーは、ガイド10人で200本以上。対策の土台が出来てからは、満足度を高めることに腐心した。「安全対策とのバランスが難しかった」。ようやく準備が整ったのが今だった。
県内在住など制限
ツアーは当面、神奈川県在住者のみで完全予約制。予約も、海外渡航歴など口頭での聞き取りをするため、電話でのみ受け付ける。人数は1回あたり最大10人までとし、80分あった見学時間は、パッケージング工程を割愛。60分におさめる。
ツアーには通常のガイドのほかに消毒などを担当するアシスタントも同行させ、間隔は30分以上空ける。
特にポイントとしたのは、マスクを外すことになる3カ所。工場見学でしか体験できない、麦芽の試食などがある素材コーナー、一番搾りと二番絞りを飲み比べる麦汁コーナー、そして完成したビールを味わえる試飲コーナーの3つだ。
素材コーナーでは、背の高いアクリル板を設置し、ガイドが一人ひとりに試食用の麦芽を配る方式に変更。麦汁コーナーは距離をあけてテーブルを配置し、対面しないように立ち位置なども固定して対策した。これまで20分で3杯テイスティングできた試飲は、10分で1杯のみに制限した。
「50年以上前からある工場見学は、お客様との大切な接点。ものづくりに取り組む会社として重要なもの」と工場見学の位置づけを語る同工場の広報担当者。「当面、県内在住者のみの利用になる。地元への恩返しのタイミングでもあると感じる。地域の方に楽しんでもらえれば」と話した。
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つるぎん27日に4月25日 |
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