聖ヨゼフ学園高等学校の3年生2人による作品が10月、黒板にチョークで描く絵を競う「日学・黒板アート甲子園」のメイン大会で日学特別賞を受賞した。同校の大会出場は初めて。作品は、自分たちの美しいと思う景色を想像で描いたもの。生徒らは、「まさか受賞できるとは思っていなかった。自分たちの好みのイメージが認められて嬉しい」と喜んだ。
同大会は、黒板やホワイトボードを販売施工する日学(株)=東京=が主催し、2015年に開始。今年度は、全国の中高生から4部門に135点の応募があった。
メイン大会の日学特別賞を受賞したのが『暮れなずむ頃』=同面で作品紹介。同校で美大を目指す平林美早紀さんと阿部薫さんが「らりんとせな」というチームを組み、移動教室の黒板に描いた。
油絵のように力強く
互いに部活や予備校で忙しく、週に一度、約1カ月間で完成させたという同作品。モデルとなった場所はなく、自分たちの好きな画像や絵を見ながら、空や海などの風景を描くことに決めた。水平線をゆがませることで、空間が広がり、インパクトが出るように構図を工夫した。
メインで使ったチョークは5色。黒板に色を重ねると、粉がとれて上手く混ざらないことに気付いた2人は、チョークに水を含ませるというアイデアで普段使う絵の具のように描くことに成功した。想像の景色のため、水面に光があたった際の色合いなどを表現するのに苦労した。
審査員からは、「チョークを水に溶くことで、油絵のような力強く幻想的な作品に仕上がっている。黒板アートの新しい可能性が伝わる」との評価を受けた。
合作の新鮮さ
「初めてあんなに大きな絵を描いて、楽しかった」と声を揃えた2人。いつもは受験生として一人アトリエで描くことが多く、協力して描くことも新鮮だったという。「意見が食い違っても、互いの思いを重ねる案を探し、努力した。完成した時は、目頭の熱くなる思いだった」と笑顔を見せる。
平林さんは金工、阿部さんは日本画に興味があり、ともに美大を目指す。「黒板アートに出場しなければ得られなかったものがたくさんある。これからも経験を活かして頑張りたい」と意気込んだ。
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