大名行列に立ち入った英国人4人を薩摩藩士が殺傷し、のちの日本開国に大きな影響を与えたとして知られる生麦事件。1862年8月21日の発生から今年で160年となる中、「現場となった地元として、改めて多くの人に知ってほしい」と語る生麦事件参考館館長の浅海武夫さん(91)に話を聞いた。
「生麦事件は日本の近代国家成立の発端となった重要な事件。地元の皆さんには改めて、自分たちが暮らす地域でそのような大事件があったことを忘れないでほしい」と語る浅海さん。
生麦事件では、発生後、薩摩がイギリスに要求された賠償金を支払わなかったため薩英戦争に発展。そこで戦力の差を見せつけられた薩摩は、攘夷鎖国論を捨て、長州と組んで倒幕を成し遂げるなど、生麦事件が明治維新や近代国家成立の発端となった。
浅海さんは、1994年に事件の史料を集めた私設の「生麦事件参考館」を開館。きっかけはそこから約20年ほど前、76年まで遡り、当時同地区で酒屋を営んでいた浅海さんの店に、事件の碑を見学に訪れた人から「事件の碑があるのになぜ史料館がないのか」という声を聞いて。歴史に興味はなかったが、「地元の責任として記録を残しておかなければ」と一念発起。海外にも問い合わせるなど、錦絵や写真、文献など約150点を集め、自宅敷地内に参考館をオープンさせた。
同館の運営だけでなく、これまで全国250カ所以上で講演を行ってきた浅海さん。「参考館にも大人だけでなく、自由研究などで子どもたちが見学に来てくれて、『先生に褒められた』とか伝えに来てくれた時など本当に嬉しい。地元の大切な記憶として、1人でも多くの人に事件のことを知ってほしい」と語った。参考館の住所は生麦1の11の20。
地元で碑を守る顕彰会も
地元では西部本宮、柳町、原東、原西、住宅地、生麦住宅の周辺6自治会町会の有志からなる「生麦事件碑顕彰会」があり、これまで追悼祭などを行ってきた。同会の大久保良正会長は「これからも地元で碑を大切に守っていきたい」と語っている。
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