くらしの器と絵「匣」=神奈川区西神奈川1の8の4=は、「簡易金継」という技法で陶磁器修理を行っている。代表の重田葉子さん(54歳)が、自宅のある神奈川区に店を移転したのは2010年。以来、「日々の暮らしを豊かに」をテーマに茶道や着付けなど和を中心とした暮らしの教室を開いてきた。今注目を集めているのが、「簡易金継修理の教室」だ。
「金継ぎ」とは、欠けた陶磁器などを漆で接着し、継ぎ目に金などの粉をまく日本の伝統的修理法のこと。しかし、漆や金粉を使用すると時間と費用の負担が大きくなってしまう。そこで、誰でも手軽に「金継ぎ」を楽しめるようにと、重田さんは漆の代わりに専用の接着剤を使用する「簡易金継ぎ」を教えている。
震災後に広まる
重田さんが簡易金継ぎ教室を始めたのは、約6年前。会員は口コミで少しずつ増えていったが、特に東日本大震災後に顕著になったという。持ち込まれる陶磁器は、夫婦茶碗や贈り物などかけがえのない一品。震災後、瓦礫の中から写真や記念品などを探し修復する活動が話題になったことは記憶に新しい。重田さんは「震災をきっかけにモノを大切にする人が増えたのではないか」とうなずく。
現在、多い月には10人ほどが「匣」を訪れ、壊れた器を直す。そこでは「モノを大切にする」という共通点を持った人々の輪が生まれつつあるようだ。重田さん自身も「これからもここで長くやっていきたい。地域の憩いの場になれば」と願っている。
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