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神奈川区 人物風土記

公開日:2017.09.28

三ツ沢東町にオープンした子ども食堂の代表を務める
小川 真奈美さん
三ツ沢上町在住 60歳

一期一会を大切に

 ○…「親子でゆっくり食事を楽しんでほしい」。このほど、三ツ沢東町に子どもの居場所「ふれあいっこ三ツ沢」を開業した。貧困地域に置かれる子ども食堂とは違い、「両親共働きの家庭が増えるなかで、夕食を1人で食べる子どもや一緒に過ごす時間が少ない親子のために食事を提供する場所の必要性を感じた」と三ツ沢地区の主任児童委員として子どもを支援するなかで生まれたアイデアだ。

 〇…450年ほど歴史がある三ツ沢上町の旧家で生まれた。父親は連合町内会の会長や小学校のPTA会長などを務める町の顔だったこともあり、子どもの頃は、自然と周りから一目置かれる存在に。「家族よりも町のために自らを犠牲にする父親が理解できなかった」と振り返る。障害のある妹と一緒に過ごしてきたことから、大学は社会福祉を学び、社会福祉主事の資格も取った。

 〇…3歳の頃から叔母の茶をたてる姿を見て育った。表千家の流派を学び、早くも二十歳で「講師」の資格を取得。更なる高みは50歳で取得できる「教授」の免許だ。将来が揺れた。福祉の道に進むか、茶道を極めるかの瀬戸際で京都の家元へ茶道の修行に出る機会に巡りあった。「着物を着付けし、花も生ける。自ら整えた空間で茶をたてる総合芸術を極めてみたかった」と50歳で「大学」の免許を取得し、足の状態が悪くなる53歳まで続けた。

 〇…「住み続ける中で、地域に尽力してきた父の姿がお手本となっている」。現在は大学で専攻した福祉の経験を活かして、地域貢献の活動を進めている。家庭では2人の息子に恵まれた。料理を振る舞うことが好きで、懐石料理や和菓子作りもお手のもの。「息子たちの美味しそうに食べるのを見て、食事の大切さを知った」と「食」をテーマに地域の子ども支援の充実を図る。「茶道の流儀は一期一会。人の出会いを大切にすることで支援の輪をもっと広げていきたい」

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