東日本大震災から10年を迎えた今も、復興に向けて多くのボランティアが支援を続けている。一方で、被災地支援で得たノウハウを自分たちが住む地域の防災に生かそうと活動する団体もある。
認定NPO法人かながわ311ネットワーク=鶴屋町=は、東日本大震災発生時に県と県社会福祉協議会、神奈川災害ボランティアネットワークの3者が設置した「かながわ東日本大震災ボランティアステーション事業」に参加した有志で結成。2013年の発足以来、県内の小中学生向けに防災ワークショップを行う「防災教育ファシリテーター」の育成や、「マンション防災」の重要性を伝える講座など、被災地支援で得た知識をもとに「足元の防災啓発」に取り組んでいる。
代表理事の伊藤朋子さんによると、横浜市民の半数はマンションやアパートなどの集合住宅に住んでおり、「管理規約や自主防災計画の策定など、日ごろから組織としての防災に取り組むべき」と訴える。
防災教育に携わる石田真実さんは、教員経験を生かして学校現場の実情に即した防災プログラムを提案。3分間でどこまで逃げられるかを地図上でシミュレーションするなど、「先生たちにこれならできそうだと思ってもらえるような内容にすることが大切」と話し、子どもたちが自らの判断で避難できるようになるための防災教育に力を入れている。
伊藤さんは各地で講座やワークショップを開催する中で、「防災に対する意識は確実に高まっていると思う」と手ごたえを感じている。しかし、一部の人だけが知識を共有するだけでは地域防災のゴールは見えない。草の根の活動を通して、防災に関心のない人たちを巻き込んでいくことがこれからの課題だ。
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