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神奈川区 社会

公開日:2023.03.02

県立こども医療センター
「司法面接室」が開設
子どもに無理なく聴取

  • 待合室を紹介する田上さん

CF 目標額の3倍

 南区にある県立こども医療センター内に虐待や性暴力を受けた子どもから被害状況などを正確に聞き取るための「司法面接室」が2月15日に開設された。NPOがクラウドファンディング(CF)で集めた資金で作り、小児専門病院への設置は国内で初めて。居心地の良い空間を意識した構造になっており、子どもの心理的負担の軽減を配慮している。

 司法面接は事件や事故に巻き込まれた子どもなどの心理的負担を配慮し、誘導なく正確な被害状況を聞き取る手法。警察、検察、児童相談所の職員が協力して行う「協同面接」などのほか、民間団体が対応するものも見られる。

 同センターに司法面接室を作ったのが中区のNPO法人「子ども支援センターつなっぐ」。つなっぐは2019年の設立以降、同センターの面談室を利用して、研修を受けた専門スタッフによる司法面接を行ってきた。だが、準備から面接、事後協議などの段階を踏むと、1回の面接に数時間かかることもあり、面接依頼が増えた場合に対応が難しくなるという懸念があった。

 そこで、同センターの敷地にある旧医師公舎の一室を利用し、司法面接室の設置を計画。改装費や設備機材費などをCFで募り、目標金額300万円に対し、1458人から約930万円が集まった。この資金をもとに約10カ月間かけて完成させ、小児専門病院では国内初となる司法面接室となった。

待合室など完備

 司法面接室には面接部屋のほか、子どもの緊張をほぐせるよう、ぬいぐるみなどが置かれた待合室を設置。録音・録画された面接の様子を医師らが確認するためのバックスタッフルームなども設けられている。面接担当者は弁護士など、研修を受けた専門スタッフが子どもの心理的負担を配慮しながら対応する。

 横浜市によると、2021年度に市が対応した児童虐待(疑いを含む)の件数は1万1480件で、過去2番目に多い結果だった。同センターの医師で、つなっぐの代表理事を務めている田上幸治さんは「聞き取り、診察、心のケアをワンストップで対応できる」と司法面接室の開設に期待を込める。

田上さんに感謝状

 田上さんが児童虐待事件の捜査などに医学の観点から長年協力したとして、15日、神奈川県警から感謝状が贈られた。

 県警は20年に児童虐待の専門チームを結成し、児童相談所や医療機関との連携を強化。田上さんは、子どものやけどや骨折が虐待によるものかを判断するなど、警察官らを対象とした勉強会を2016年から定期的に開いている。

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