区の特産「宮前梨」の収穫・直売が、8月上旬から順次開始される。宮前梨組合では「今年は雨量が少なく酷暑の影響も心配されたが、太陽の光をしっかり浴びた分、甘味が増し、順調に生育している」と太鼓判を押す。
有馬4丁目にある「有馬果樹園」の持田陽介さんによると、今年は春先の開花が1週間ほど早かったことから収穫も早まることが予想されたが、「少し早いくらいでほぼ例年通りの収穫時期になるのでは」と話す。
酷暑の影響は少ないというが、雨量が少なかったため、梨園によっては状況をみながら水を撒く作業を行っている。「井戸から水を引いているが、井戸水が枯れてしまって苦労した」という梨園もある。一方で、持田さんは「太陽の恵みをたっぷり浴びた今年の梨は甘味がギュッと詰まっている。上々の出来」と話す。
県の名産100選、かわさき農産ブランド「かわさきそだち」にも選ばれる川崎産の梨。江戸時代初期に川崎大師河原周辺で栽培されていた記録があるほど、その歴史は古い。現在は宮前、中原、高津、多摩、麻生区で栽培され、総称して「多摩川梨」と呼ばれている。「宮前梨」も多摩川梨のひとつ。1950年代に区内有馬で栽培が始まり、栽培技術の改善や「幸水」「豊水」といった人気品種の登場、「もぎたて、直売」といった販売方法でファンを増やし続けてきた。
現在は有馬、野川地区の区内5園と中原区の2園が「宮前梨組合」を組織し、梨の品質管理に努めている。
「有馬果樹園」では「幸水」「豊水」の他、「あきづき」を生産。品種によっては9月下旬頃まで楽しめる。各園で予約や地方発送も受付中。
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