第5回川崎市議会定例会の本会議で12日、ヘイトスピーチに刑事罰を科すことを盛り込んだ「差別禁止条例」が可決され成立した。ヘイト規制条例での罰則規定は全国初。来年7月の全面施行(一部4月施行)に向け、市は「差別解消には市民の理解が不可欠」とし、周知方法を検討していく。
国籍や信条、年齢、性別などを理由にしたあらゆる差別を禁止する「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」。条例では公共の場所で外国人や外国出身者に対し悪質なヘイトスピーチを繰り返し行った場合、50万円以下の罰金を科すことが定められた。
本会議では自主退席した2人の議員を除き、全員が賛成し成立。市は今年度中に具体的な事例などを示す「解釈指針」を作成する。
福田紀彦市長は「条例は全ての市民に対するあらゆる差別を許さないもの。引き続き周知していきたい」と話したが、方法については未定。市は今後、各関係機関と協議していくという。市教育委員会では研修の機会などを活用し、教職員への浸透を図る。児童生徒への教育については来年度中に議論を進め、方針を決める予定だ。
川崎区桜本をはじめ全国各地で発生したヘイトデモを機に、国は2016年に「ヘイトスピーチ解消法」を制定。理念法のため、各自治体の実情に応じた対応が求められていた。
オール川崎で活動する市民団体「『ヘイトスピーチを許さない』かわさき市民ネットワーク」は、「より実効性のある条例」を求め続けてきた。同団体事務局の山田貴夫さんは、罰則が科せられるのは違反行為を3回繰り返した場合という点について「速効性はないが、差別が犯罪だと明示したことで抑止力につながる」と話す。「川崎市では国籍を理由とした差別が続き、当事者が声を上げて闘ってきた。条例制定は素直にうれしい」と思いを語った。
一方、ネット上の書き込みは罰則対象外で、市は「被害者の支援を行う」としている。山田さんは「条例成立がゴールではない。今後は具体的な支援策を市に求めていく」との考えを示した。
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