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公開日:2021.08.20
旧県営野川住宅跡地
市から県へ返還決定
保全会、緑地存続求め
野川の旧県営野川住宅跡地が7月、県に返還されることが決まった。県が所有している跡地は2012年に市が無償で借り受け、地域住民らからなる北野川ふれあいの森保全会が維持管理。同会は、コスモスの咲く森として住民に愛されてきた、緑地の存続を求めている。
跡地は、県のふれあいの森事業で初となる借地として、利用が決まるまで1年ごとの契約で利活用されてきた。
しかし7月、県は跡地を市が買収する意思がなければ一般入札で売却するとし、市に返還を通達した。保全会は森の存続を市に要望。市は緑地整備に関して、緑の基本計画に沿って10年以上をかけて進めており、市みどりの保全整備課担当者は「現在の市の財政状況を鑑みても、買収は不可能。保全会はじめ地域の方には長きにわたり活動していただいていたのも把握しており、申し訳ないばかり」と吐露する。
期限としていた7月27日までに市による買収意思が示されなかったため、売却が決定。県住宅営繕事務所担当者によると、跡地の一般入札に向けてスケジュール等を含め調整中だという。広さは市が県から借り受けていた836平方メートルを含む、1万4066平方メートル。
地域に愛されたコスモス咲く緑地
跡地の緑地保全と公園化は、09年から地域住民らが呼び掛け実現した。12年に借り受けた市が整地し柵や看板を設置。保全会が定期清掃などの維持管理のほか、宮前区の花コスモスを植栽し、秋には5000株超が咲き誇る。森は一部のみを活用しており、会で里山づくりを考案し、全体を借りられるよう交渉を続けていた。
保全会の副会長で、森のそばに住む関誠さんは「通達は唐突だった。結果は予測していたがやはり残念でならない」と肩を落とし「今年最後になるかもしれないコスモスを、たくさんの人に観てもらえたら」と話す。今後、保全会では実情を受け止め、「緑や活動をどう残していくか」を模索していくという。
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