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公開日:2022.03.18

神木山等覚院
「お不動さん」東海巡業
副住職が2日間交流

  • 当日の様子=同寺提供

 毎年春に地域住民で持ち回り祈る風習が残る、神木山等覚院の本尊・不動明王像。その風習を広く知ってもらおうと、中島光信副住職=「人物風土記」で紹介=が3月4日、5日に静岡へ出張巡業した。「新たな気付きの場になった。縁をつなぐ、さまざまな可能性が広がっている」と感想を述べた。

 等覚院の不動明王像を持ち回りの家々で祈る風習は、古くは江戸時代から宮前区内外での記録が残るが、継承する家は年々減少している。そんな中、昨年6月に中島副住職が参加した名古屋での座談会で、持ち回る「お不動さん」の風習を話題にした所、偶然参加していた現地の住職が「うちの寺に巡業してみないか」と手を挙げた。元来、等覚院は遠方からの参拝者が多かったこともあり、中島副住職は「これも何かの縁。地元にこだわるのでなく、行く先で喜んでもらえるのでは」と快諾し巡業が決まった。

 初めての試みにあたり、今まで持ち回っている家々にも1月の行事の際に確認。「お宿」として毎年受け入れている馬絹の目代由美子さんは「聞いたときはうれしかった。多くの人とふれ合えるのは良いこと。またお詣りできるのが楽しみ」と喜んだ。

学びでなく気付きの場に

 出張巡業は2日間。初日は静岡市のホールで暗闇の中、車座で話をするイベントを実施。「お不動さん」を置き段々と照明を落とす中で、参加者からは自然と生死や宗教の話などがあがっていたという。

 翌日、中島副住職は富士市の寺で現地の副住職と対談。天台宗である等覚院の「お不動さん」と浄土宗の「阿弥陀様」の違いなどについて話した。参加者は30〜70代と幅広く、一人で話すと普段の説法になってしまうため、トークショーなので宗教に興味のない人にも噛み砕いて伝わるよう工夫したという。「新しい形を取ることによって、毎月読経会に参加するような熱心な層から無関心な層にまで訴求できるのでは。参加者は説法として教わるのでなく、自発的に考えてくれていた。学ぶのではなく、気付きの場となっていくと良い」と期待を込める。

 寺院は、古くは地域コミュニティの礎でもあった。「お不動さん」を迎えた家には昔、地域の住民が拝みに来て料理や酒を振る舞うなど、交流を深める場にもなっていた。今回の巡業で可能性を見い出した中島副住職は「巡業することで、縁をつなぎ地域の交流を深めていくことができるのは大きな意義がある。今後も続けていきたい」と抱負を語った。

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