宮前区内4カ所にこのほど、山形県から芋の苗500株が届いた-。送り主は宮前にゆかりのある本木勝利さん(77)。若かりし頃に出稼ぎに来ていた宮前を思い、苗と共に手紙を同封した。苗はそれぞれ植え付けられ、各地で交流を深める機運が高まっている。
田園都市線が開通した60年ほど前の高度成長期。当時、山形県の農家は繁忙期外の冬場に出稼ぎに出ていたという。同様に本木さんは、宮前区で工事にあたっていた。5年ほど働いた後は地元山形県に戻り、農園を営みながら町議会議員を10期務めた。
昨年の東京五輪を機に、本木さんが撮っていた1964年東京五輪の頃の宮前の写真を山形で上映したことから、宮前区とつながった。宮前区での芋植えの記事をたまたま本木さんが見たことから、「自分の農園で育てている芋の苗を使ってほしい。交流のきっかけになれば」と企画。農園で育てている芋苗を発送した。
収穫時にもつながりを
届いた芋苗は、紅ほっこ、紅あずま、紅はるかの3品種で、紅ほっこは本木さんの農園で商標登録したものだ。苗には「歴史に思いを馳せながら、育て食べてください」と直筆の手紙が添えられていた。
宮崎町内会では6月11日、農園部が子ども会と芋苗を植え付けた。塚本五郎部長(78)は「130株も届いて驚いた。今年は子ども以外にも芋を配れそうだ」と話した。芋苗は、同会の他、はぐるま稗原農園など計4カ所に届いた。
本木さんは昨年11月、地域交流とまちづくり活性化イベント『ラブみやまえ』に、「開発当時の鷺沼を知る人」としてオンラインで講師として登壇するなど、交流を深めている。山形では、出稼ぎの記録の映画製作が昨年夏からスタート。宮前区の有志からは山形へ行く企画や、収穫に合わせてのイベントなどの企画の話もあがり、交流の機運が高まっている。
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