川崎市は5月30日、入札公告していた「川崎市中央卸売市場北部市場機能更新事業」の落札者を、大和ハウス工業を代表とする企業グループに決定したと発表した。落札価格は約604億6630万円。2037年3月までに市場機能の完成を目指し、設計・建設が進められる。
1982年に開場した北部市場は、長年にわたり食品流通拠点としての役割を担ってきた。しかし、施設の老朽化や社会経済環境の変化に対応するため、市は機能強化の必要性を検討。23年11月に「川崎市中央卸売市場北部市場機能更新に係る基本計画(案)」を策定し、パブリックコメントを経て24年3月に基本計画を正式に決定した。
再整備事業は、民間の資金やノウハウを活用するPFI方式を採用。同年9月から総合評価一般競争入札で事業者の募集を開始し、2つのグループが参加していた。
落札した大和ハウス工業の企業グループには、東急や東急モールズデベロップメント、織戸組、富士通などの企業が名を連ねる。市は今年12月の市議会での議決を経て、本契約を締結する予定。37年3月までを設計・建設期間とし、現在の市場営業を継続しながら段階的に建て替えを進めるローリング方式で実施される。
食の先進モデルに
同グループが提案するコンセプトは「Kawasaki FOOD DESTINATION」。市場流通と一般食品流通を一体化させた施設「ONEいちば」と、食の魅力を発信する賑わい施設「フードパーク」を整備し、卸売市場の先進モデルを目指す。
現在の水産棟の場所に建設予定の「ONEいちば」は、市場としては日本初となる免震構造を採用し、災害時にも安定した食品供給を可能にする。卸売市場機能に加え加工・配送・流通を共同化する食品流通施設を配置。デジタルやロボット技術による効率化も図る。一方、現在の青果棟の場所に建設される「フードパーク」は、「食を楽しみ、こだわり、関わる拠点」として、エンターテインメント性を取り入れたマルシェやフードホールを設置。隣接する菅生緑地と連動した「谷戸ガーデン」なども提案されており、市民が集う賑わいの創出が期待される。
市の担当者は「再整備を通じて食品流通の機能強化を図り、市民に親しまれる市場を目指したい」と話した。
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