高津区 社会
公開日:2022.07.08
ごみ拾い5年、今もなお
下作延在住・関口氏の矜持
溝口駅周辺やポレポレ通りで「行ける日は毎日」ボランティアでごみ拾いをしている区内在住の関口弘之さん。2019年6月に本紙取材に応じてくれた関口さんは、齢80を迎えた現在もごみ拾いを続けている。活動も丸5年を迎え、心に去来する想いを聞いた―。
ごみ総量「ゾウ1頭分」
関口さんは生まれも育ちも高津区。幼少期から過ごしてきた溝口駅周辺にごみが散乱していた状況を看過できず、2017年5月31日から清掃活動を始めた。
ごみ拾い活動は「(行ける日は)ほぼ毎日」。清掃ルートも決まっており、まず商業施設が建ち並ぶ溝口駅周辺を清掃。たばこの吸い殻や空き缶・ビン等をトングを使い慣れた手つきでごみ袋に入れていく。その後、側溝へのポイ捨てが目立つポレポレ通り、イトーヨーカドー溝ノ口店周辺を入念にごみ拾い。そこから自宅(下作延)までの帰路も清掃を続ける。
集めるごみの量は1日でスーパーの買い物袋1つ分ほど。ここ数年はコロナ禍で外出控えもあり、ごみの量も減少傾向にあったが、その重量は平均3キロほど。単純計算でも5年間で拾ったごみは約5・5トン。これはゾウの雄1頭の体重に匹敵する(本紙調べ)。
「ガンジーの心持」
そんな関口さんのボランティア活動を本紙が紹介したのが3年前。ごみ拾いがすっかりライフワークとなった直近の状況を説明しながら、今後に向けた抱負などを語ってくれた(2019年6月7日号・既報)。だがその後、関口さんの周辺に異変が。地道な活動にも関わらず「売名行為」と揶揄(やゆ)されたり、ごみ拾いをしている最中、目前で火のついたタバコを投げつけられる事も。さらに最近増加している「歩きスマホ」の人が、しゃがんだ姿勢で作業をしている関口さんにぶつかり、詫びもせず去っていく事もあったという。そんな辛い目にあっても、黙々とごみ拾いを続ける姿はいつしか「下作延のガンジー」と評されるようになったのだとか。一方で溝口界隈では知られた存在となっており、差し入れや安全祈願のお守りを持って激励してくれる人や「私もやってみよう」と、志を同じく活動に勤しむ人も増えているとの事。「やはりそういう時は、嬉しいものですよ」と、しみじみ語る。こうした活動の足跡は自伝として上梓した「夕陽とケルン―完結編―」にて述べられている。内容が気になる人は編集室まで。
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