多摩区版 掲載号:2019年7月12日号 エリアトップへ

川崎市岡本太郎美術館の学芸員で20周年記念展を担当する 大杉 浩司さん 宿河原在住 58歳

掲載号:2019年7月12日号

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忘れぬ感情、今も心に

 ○…あす始まる20周年記念展。これまでの歩みを振り返ろうと、開館以来の企画展をすべて集めた。およそ2千点にもなる収蔵品の目録も発行する。「今までやってきたことを一度、市民の皆さんに見てもらいたい。意見をもらって、これからの美術館を考えていく」。節目の年にあたり、地元団体や企業の協力も。「地域密着型で。市立美術館だからこそ、機動力を持って新しいことに挑戦できる」と先を見据える。

 ○…川崎市立中学で美術を教えて10年経った30代半ば、「ある日突然、美術館をつくるからと辞令が出た」。それは岡本氏が亡くなって2カ月後のこと。開館に向けて、作品の整理やコンセプトの検討など奔走した。岡本氏のパートナー・敏子さんは家族のように接してくれたという。「もうだめだと思うことがあっても、やってこられた。敏子さんが『それが岡本太郎のお計らいなのよ』って」。ひらめきを力に、携わった展示は20〜30回に上る。

 ○…特に「太陽の塔」への思いは強い。小学4年生のとき万博で目の前にし、心を奪われた。美術好きな少年で「太陽の塔ばっかり描いていた」と、油絵の大作にも挑戦した。美術館ができて間もなく、「当然自分がやるもの」と太陽の塔をテーマに展示を企画。資料を掘り起こし、関係者への取材も実現した。「そうそうたる人たちの話を聞き、こんなにわくわくするのかと。太郎のことを仕事にできて誇りに思う」

 ○…宿河原に住んで15年ほど。美術館には自転車で通う。「多摩川沿いは夏の早朝が気持ちいい」と散歩も日課だ。岡本氏の芸術をより身近に感じてもらおうと、新たな展示を模索する。「お客さんが直感的に楽しみながら、心に残るものを持って帰ってもらうことが一番大事」。市民目線で、巨匠の思いを次代につなぐ。

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