市政報告 スポーツ施設の市民解放に感謝 川崎市議会議員 上原まさひろ
令和３年度の市の予算を審議する予算特別委員会では、足元のコロナ禍による歳入減の中、必要な施策を主眼に各議員からの審査が行われた。私からは、凄惨な殺傷事件の記憶が新しい多摩区に関わりの深い犯罪被害者等支援や、令和元年度台風の教訓で喫緊に進めなければいけない大丸用水取水施設改修での稲城市との連携、内水ハザードマップから見えてくる地域ぐるみのタイムラインの提案などを行った。
■大前提となる「減債基金」の在り方
先輩議員である嶋崎嘉夫・市議会議員など複数の委員から指摘されたのは「減債基金」の取り扱いについて。これは超長期の返済に向けて市が積み立ててきたもの。総務省の地方財政統計では、これは積立金とは認識せず、あくまで返済のためのキャッシュアウトとみなしている。足元で既に９００億円以上の借入を行っているが、この返済に向けた計画は５年前時点で50年以上先としていた。令和３年度にこの資金繰計画の考え方を示す「収支フレーム」が公表されるが、予定していた収支均衡のタイミング・返済開始を行うはずの令和７年度からは大きく後ろ倒しされてしまうことが予想される。扶助費と呼ばれる費用も、ここ数年毎年１００億円規模で膨らんでいる。人口増等による「増収」はあるが、まかないきれず苦しい財政運営が予想される。
■投資先の厳選と同時に、使えるものは使わなければいけない時代に
市民の皆様、市内企業の苦境を踏まえると、どうしても必要なお金はある。また「まち」の在り方を問う大きな投資は、取捨選択を要すが不可欠。本予算委員会では、「南武線立体交差事業」について方向性から改めて協議するため、令和２年度の都市計画決定を見送り、３年度に社会情勢等踏まえ検討することも大きな論点となった。平間駅付近で報道をにぎわす「あかずの踏切」などは暫定処置するという。処置が可能なら、なぜ今までやらなかったのか、これは大規模な投資待ちだったから。とすれば、対応を心待ちにしていた市民の生活や気持ちの行き場は？ 市民にとって身近な危険に対する認識は十分とは言えない。
■多摩区で市内５施設目の市民開放が実現見込み
先行きが見えない以上は、今使えるもの、使われていないものを、有効に活用していく丁寧さも必要。令和３年度には、次年度から10年間の資産の有効活用に関わる計画を策定する予定であり、この１年間の議論が特に重要となると考える。これを踏まえ、市民からのご相談とご協力を得ながら、市内の既存の民間施設の有効活用について質問し、多摩区の民間施設の開放に向けて条件等の調整を行っていることが明らかとなった。
■多摩区内の学校法人のご協力に感謝
相談いただいていたのは、公営テニスコートの少ない市北部への疑問。南部には31面あるが、北部には３面しか存在しない。新たに設置できないかという趣旨だったが、私が着目したのは多摩川河川敷。現地を調べたところ利用状況は高くないだろうということで、市に提案し、所有者の学校法人に掛け合っていただいた。現在は県立多摩高校のグラウンド工事に伴い生徒が利用している状況だが、同校の利用終了後、なるべく早い時期に利用開始できるようさらに調整していただいている。市民開放施設は市内で５施設目。テニスコート６面のほか、野球場なども調整中だ。フロンタウン生田に新設される各施設も踏まえ、多摩区のスポーツを「する」町としての色合いは一層強まる。私が市に相談し始めたのが一昨年６月。議員になりたての頃からの相談が実を結び、市民の利便性向上につながる。相談いただいた市民や動いてくださった行政、ご協力いただく学校法人には、この場を借りて心より感謝申し上げたい。
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