JR東日本は先月16日、扉や戸袋を風が抜ける構造にした新型ホームドアの試作機を南武線・登戸駅に設置。導入に向けた実環境試験を行っている。12月23日までの予定で、風圧軽減や設置工事の簡素化が新型の利点だ。
新型ホームドアは、列車の進入時などにかかる風圧を逃がす形状が特徴。本体の構造を従来型と同じにすることで、安全性を維持しながら工事の設計や施工が効率化されるという。
試作機の設置は登戸駅が初で、同社は「駅の状況、ホームの混雑状況、形状や構造などを考慮して登戸駅での試行検証が決まった」としている。設置場所は下りの1番線ホームで、川崎駅寄りの端の部分。列車のブレーキによる鉄粉や粉じんの影響、付着物の分析など、ホームドア本体の動作に関する検証が主な目的だ。工費は検証で得られた知見をもとに検討するとしているが、節減を見込んでいる。
小田急線の乗り換え駅でもある登戸駅は、2020年度の平均乗車人員が5万9017人。東京圏在来線の主要駅243駅のうち53番目となっている。
東京圏主要駅設置率3割弱
乗客の列車との接触や線路転落の防止策として、同社は2008年に発表した山手線の恵比寿駅、目黒駅への先行導入を皮切りにホームドア整備を進行。利用者の早期整備への要望なども踏まえ、2032年度末ごろまでに東京圏243駅への設置を目指す計画を、3年前に打ち出した。
ホームドア設置状況は243駅のうち72駅で、1駅に複数路線がある分を加算した線区単位の全330駅では83駅(11月10日時点)。新型の導入に向け、同社は「ホームドア未設置駅に対して検討する」としており、「開発中のため具体的な時期は検討中。検証結果を踏まえて課題を把握し、開発に反映していく予定」との方針を示す。
今後の取り組みとして、同社では設置駅のホームの基礎構造改良や、ホームドアに対応した装置を全車両に搭載することなどを課題に挙げる。ホームドアの開口位置を、乗り入れする全ての車種の扉位置と合わせることも必要という。
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