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中原区 人物風土記

公開日:2020.06.12

(一財)中原交通安全協会の会長に5月15日付けで就任した
伊藤 稔さん
井田中ノ町在住 76歳

「誇れる郷土」末永く



 ○…中原で生まれ育ち76年。田園風景が広がっていた街が都市化していく様子を見てきた。感じるのは、自転車利用者の増加に専用道路の整備が追い付いていないことや、免許返納後の移動手段が不十分なことへの危機感。交通安全協会の会長に就任した今、課題解決への思いを一層強くする。「皆が『安心安全な街』と誇れる日を目指して」



 ○…井田中学校の1期生。「住吉中から引越しのとき、2キロ弱の距離を勉強机と椅子を抱えて必死に歩いたよ」と苦笑い。早くに父親を亡くしたため20代の頃から家長として地域の会合に出席し、先輩らと交流するように。街を良くするために何をすべきか考える機会が増え、「大好きな郷土を守らなければ」という使命感が芽生えた。定年後は、地域貢献のため同協会やロータリーの会員として活動を始めた。「街を知れば知るほど課題が見えてきて休む暇などない」と、変わらない責任感をのぞかせる。



 ○…幼い頃の遊び場は自宅前の田んぼ。四季とともに過ごし、正月は凧揚げ、夏は虫取りに興じた。街の発展に伴い自然が減った今、季節は自宅の庭で感じている。独学で園芸を学び30年、植栽も剪定も自ら行う。「手入れをすると心が清められる気がしてね。風呂上がりに庭を散歩する時間が至福だよ」と柔和な笑顔を見せる。



 ○…今年、金婚式を迎えた妻と二人三脚で歩む。「街活動に積極的で頭が下がる。刺激をもらっているよ」と伴侶に敬意を示す。会長として早急に取り組みたいのは、高齢者へのアシスト自転車の指導と公共交通機関充実化の推進。日々頭に浮かぶのは街のことばかり。「中原をより良い状態で後世につなげたいから」。郷土への愛着に突き動かされている。

 

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