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中原区 人物風土記

公開日:2021.01.29

武蔵小杉駅前に昨年移転した川崎市総合自治会館の館長を務める
野村 正人さん
多摩区在住 62歳

郷土を愛し、つながり育む

 ○…ホールや多目的室、大小会議室などの設備を整え、市民活動を支える施設として昨年8月に武蔵小杉駅前へ移転。アクセスも向上し、従来より若い世代の利用も増えた。楽器演奏もでき、ビジネス目的としても使え、飲食も可―。周知され始めた矢先、緊急事態宣言で利用者数は縮小傾向に。「感染対策を徹底し予約受付しているものの、利用を積極的に呼びかけられずもどかしい」と複雑な胸中を語る。

 ○…1981年に市役所に入庁し、初めて配属されたのが中原区役所市民課。記憶に残るのは、当時外国人登録の際に義務付けられていた指紋押捺。「人種差別のような押捺を拒否する動きが広まって。でも伊藤三郎市長がその行為を不告発に。今も川崎市はヘイトスピーチなどに対する条例を制定し、人権を大切にしてきた都市」と変わらぬ姿勢に誇りを感じている。様変わりしたのは街の風景。「小杉はのどかな田園地帯だった。そこにレンガ造りの立派な旧会館が完成して。まさか今、その館長をしているとは不思議ですよ」

 ○…趣味の旅行ができない今は、自宅がある生田(多摩区)周辺をまち歩き。「お気に入りは生田浄水場跡。階段を上ると秩父の先まで眺められ最高」。多摩川梨は直売所で毎年購入し、福島県の娘家族にも贈る。「向こうは梨の産地だけど、川崎だって旨いんだぞって。対抗意識でね」と苦笑い。川崎の自然や都市農業もこよなく愛す。

 ○…大切にしているのは人のつながり。「人との触れ合いは不要不急ではなく、むしろ生きがいだと思う。早く安心して集える場を市民に提供できたら」。事態が収束したら、駅前という利便性を生かした自主事業の構想を描く。「コロナで学んだこともある」。市民のために、前向きに。

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