今年2月に二つ目に昇進し、9月20日に「生田二つ目落語会」を開催する 柳亭 市若(いちわか)さん(本名:野坂草馬) 上麻生在住 34歳
地域に根差す噺家目指す
○…今年2月に二つ目に昇進。顔見世として都内の各寄席で高座に上がったが、コロナ禍のため、その後ばったりと落語をする機会が減った。「みなさんに顔見世ができただけで良しとしないと。ただ、とっても暇で、師匠に付いて回りお世話をした前座と違い、まったく仕事がないんですよ」と笑う。
○…オランダ生まれ。両親の仕事のため5歳まで過ごした。帰国後は柿生保育園、白山小・中学、麻生高と地元で育った。明るい性分で「楽しいことは好きだったけど、お笑いが好きというわけではなかった」と振り返る。大学では微生物を専攻し、大学院まで進んだ。就職も技術研究員として商品開発に携わった。忙しい日々で、ストレス発散や気分転換のために手に取ったのが、落語のカセットだった。
○…車で通勤するときに落語を聞き、寄席にも足を運ぶようになった。仕事がいやだったわけではなく、「やりたいことができる職業に就きたい」という思いが強くなった。父親に相談すると「やってみれば」と背中を押してもらった。柳亭市馬を訪ねたのは入社3年後。1度目は「噺家は食べていけない。そのまま会社員を続けた方がいいよ」と諭された。2度目も断られて、3度目のお願いで弟子に迎え入れてくれた。28歳だった。
○…「地元の人たちに応援してもらえるような噺家になりたい」という。9月に続き、11月、1月も地元公演を予定している。「古典も新作もできるようになりたい」というが、「新作は怖くてね。人前ではまだやったことがないよ」。まずは「食べていけるようになること」が目標。散歩しながら落語を覚えるのが日課。「家にいると誘惑が多くてね」と茶目っ気たっぷりに笑う。
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