川崎市が来年度、国からの地方交付税で市の財源を補う「交付団体」になる可能性が浮上した。新型コロナ感染拡大に伴う税収減やふるさと納税による市税流出の影響などで、307億円の収支不足が見込まれるため。交付団体になれば2015年度以来。市資金課は「地域経済の活性化を図る」とし、税収回復を目指す。
交付団体の可能性については、10月5日の市議会決算審査特別委員会で、市財政局の三富吉浩局長が述べた。
地方交付税は、国の基準で算出する財政力指数が1を下回った地方自治体に配分される。市は16年度から、地方交付税に頼らず財政運営をする不交付団体で、今年度は政令市で唯一。だが、コロナによる景気の落ち込みやふるさと納税での流出などが要因で、220億円の減収を見込む。社会保障費等の増加もあり、来年度は全体で307億円の収支不足が生じ、指数が1を下回る見通しという。来年度の事業への影響について、市資金課は「予算編成に着手したばかりで、影響の程度は現時点で不明。交付を受けることで市民の生活が大きく変わることはない」との見方を示す。
「コロナ下は必要」
都市問題を研究する川崎地方自治研究センターの板橋洋一理事長は、国に頼らない運営が理想としつつも、「平時と非常時は分けて考えるべき。コロナ下では、行政サービスを保つために交付を受けた方が良い」と話す。一方で、「コロナ以外の要因で交付となることがあれば、単に税収減によるものなので見過ごせない」と指摘する。
市の過去3年の平均指数は1・028。1をわずかに上回っているに過ぎず、豊かとは言えない状況だ。交付の有無は、国からの補助金の補助率にも反映される。1を大きく上回らない限り、不交付であることが不利になる場合もある。財源回復への道筋について同課では、川崎じもと応援券の発行や無利子の融資による地域経済の活性化と、ふるさと納税の返礼品に中小企業の工業品を加えることによる企業の販路拡大を挙げる。同課は「景気回復を後押しし、税収増につなげたい。納税について市民にも今一度考えてもらえたら」と展望を示す。
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