もう、古豪とはいわせない――。社会人アメリカンフットボールXリーグ「パールボウル」が4月22日から開幕した。富士通スタジアム川崎を練習拠点にする「アサヒビールシルバースター」は有馬隼人氏が今シーズンからヘッドコーチとして指揮を執る。意気込みを語った。
監督を務める阿部敏彰氏からの要請を受けた有馬氏。シルバースターといえば、90年代、最強を誇ったチームとして強く印象に残るという。名門ゆえにヘッドコーチ就任の打診を受けた際、「看板は大きい」とプレッシャーを感じたが、それ以上にやりがいと魅力が勝った。
99年の日本一を最後に優勝から遠ざかるが、ここ4年で若手新人が大量加入し、選手の入れ替えが加速した。「着実に力を付けつつある」と手ごたえを感じている。「『小さなビッグプレー』の積み重ねで試合に勝っていく」と意気込む。富士通、パナソニック、オービック、IBMの4強に割って入るのが目標だ。「いつでも日本一を狙えるチームにしたい」
がんと闘うゲームスタッフ
大森優斗さんは現役プレーヤーだった24歳の時にがんを発症した。当初はチームのポジションのメンバーら数人に話をし、世間には隠しておくつもりだったが、父親のフェイスブックで「公表」されてしまった。
手術の日、自身の携帯電話に先刻のファンから応援メッセージが入った。「支えられていることを実感した」。
チームは、ゲームスタッフとして名前を残し続けていたことにも感激した。昨年11月に治療が終わったことを機にディフェンスコーチとしてチームを支えることを決めた。今は自身のスキルを伝えることに努める。「支えてくれたチームに恩返しをしたい」
地元出身のキャプテン
今シーズンのキャプテンに任命されたのは、DL(ディフェンシブライン)小林貴選手だ。川崎区境町出身。富士通スタジアム川崎近くの寿司店が実家だ。アメフットは法政二高時代から始め、法大でプレーし、今季で3シーズン目を迎える。年少者がチームを牽引すること自体プレッシャーだというが「ベテラン選手の知識と経験を融合させていく」。クラブチームゆえ、限られた練習の中、組織として強くなることを徹底して言い続ける。「8位、7位、6位と強豪と呼ばれていた頃の力を徐々に取り戻しつつある」ことにも手ごたえを感じている。「優勝圏内に入り、川崎にシルバースターがあり、地元出身の選手がいることを知ってもらいたい」と力強く語る。
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