川崎警察署で座談会
ストップ！振り込め詐欺

意見を交わす清水署長と安部さん、明立さん（左から）

　川崎警察署管内で発生する振り込め詐欺などの特殊詐欺の被害がなくならない。２０１９年は被害件数43件、被害額約９４００万円。一方で、水際で振り込め詐欺が防がれたケースもある。本紙では昨年被害を未然に防いだファミリーマートなわてや八丁畷店店長の明立篤さん、川崎信用金庫大師支店の安部啓子さんと清水昭人署長に話を聞いた。

　--どういう状況で被害を防ぐことができたのか教えてください

　明立…私の件はお客様の携帯電話のメールが通販サイトの支払いでアダルトの月額コンテンツを使用しているのでウェブマネーで支払いなさいというメールだったので、辻褄があっていないから絶対に支払わないでとお願いしました。しかし、お客様は迷惑をかけたくないから、払って終わりなら払いたいという意向で。これまでに止めきれなかった人も含めてですが、誰かに迷惑をかけたくない、という思いが強いケースが多いです。ご家族か警察に相談して、それでも支払いなさいということであれば、もう一度来てください、ということでお断りして止めることが出来ました。

　安部…私のケースは還付金詐欺でした。通常私はお客様と直接話す職種ではないのですが、たまたま窓口が忙しく、振り込みができないというお客様を対応しました。還付金の内容で、話の様子でこれはおかしいということで、お話してその時はお客様が割と素直に話を受け止めていただけたので被害は未然に防げました。

　--普段気をつけていることなどはありますか

　明立…支払い方法が分からないという人とかは特に気をつけるようにしています。またＡＴＭでお客様が振り込んでいるときに店にクレーム電話がかかってくることがあります。クレーム対応で従業員を釘付けにして、その間に処理するんです。なので逆に不可思議なクレーム電話が入った時はまずＡＴＭにお年寄りの方がいないかの確認をするようにしています。

　--警察にこうして欲しいといった要望はありますか

　明立…警察をご案内した時の窓口があると分かりやすいと思います。還付金とか詐欺関連で不安な方はここで相談してください、というような。誰かに迷惑をかけたくないという優しさで被害にあってしまう方がいるので、そういう方に警察に相談することは迷惑をかける行為じゃないということが浸透してくれればと思います。

組織として対応を

　清水…改めてお話を伺うと功労の大きさをつくづくと感じます。犯人と被害者が一対一でやっていると被害を防止するチャンスがないんです。第三者が介在する機会は金融機関やコンビニなので、皆さんが意識を高く持っていただけるのは有難いです。一人で対応するのは限界があるので、金融機関さんも案内の方だけじゃなく、警察が来るまで幹部の方に対応していただく時間を持つとか、そういうことも有効かなと思います。向こうは組織でやってますので、こちらもできるだけ組織対応をして、高齢者の財産を守るようにしていければと思います。

迷惑防止機能電話の活用を

　振り込め詐欺の多くは家の固定電話にかかってくる。迷惑電話防止機能付機器は呼び出し音を鳴らす前に、「この通話内容を録音します」という旨の警告と自動録音をすることで、録音を嫌う犯人が電話を切り、騙される可能性が減る。川崎警察署では機器の貸し出しも行っているので不安な人は相談を。新型コロナウイルス感染拡大に便乗した詐欺にもご注意を。