失業などによる生活困窮者やホームレスを一時的に受け入れ、住まいや食事を提供する川崎市の施設「生活困窮者・ホームレス自立支援センター」。今春のコロナ禍で市内3カ所ある施設の利用率が9割を超えたため、市は市内ビジネスホテルの空室を充てることを8月に決定した。
川崎区と幸区、高津区にある3カ所のセンターを合わせた定員は145人。同センターでは利用者の就労や生活の自立に向けて、住まいや食事を原則3カ月間提供している。施設内の就寝スペースや相談員の人数には限りがあるため、市担当者は「利用者の増加により、サービスの質が低下する可能性もある」との懸念を示す。
経済効果に期待も
市は8月に発表した緊急経済対策の改定版で、定員拡充への施策を提示。今年度中に20人が90日滞在できる部屋を確保しようと、予算約1700万円を計上した。市議会の審議を経て予算成立後、市は早期の運用開始を目指し、ホテルの選定と調整を進める予定だ。
今回の緊急対策に対し、ビジネスホテル側では経済効果を期待する声もある。観光客減少が進む今春以降、市内ホテルの従業員の一人は「例年通りの集客にはほど遠く、空室も未だに目立つ。条件にもよるが、利用してもらえるのはありがたい」と話す。
一方で、ホテルでセンター同様の支援ができるか、不安視する声もある。ホテルを活用する場合、相談員が必要に応じて訪問することも検討中。一般客への影響も考慮し、利用者の支援の度合いに応じて条件を設ける必要もありそうだ。
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