川崎区宮本町で1981年に発足した「日本地名研究所」(高津区溝口)が、40周年を記念した展示を東海道かわさき宿交流館で開いている。
展示では同研究所の40年の歩みを写真や年表で紹介している。今年は初代所長の故・谷川健一氏の生誕100周年の年でもあり、谷川氏が初代編集長を務めたグラフィック誌『太陽』や、執筆した書籍、色紙にしたためた詩なども並ぶ。
展示にあたり、同研究所は「地名は大地の表面に描かれたあぶり出しの暗号である。とおい時代の有機物の化石のように、太古の時間の意識の結晶である。地名は大地に刻まれた人間の過去の索引である」との谷川氏が遺した言葉を紹介している。同研究所の菊地恒雄事務局長は「40年前、開発による町の変化とともに、昔からの地名がなくなっていく危機感から地名研究所を発足した。今なお、川崎の地で研究が続いていることをぜひ市民の皆様に知ってほしい」と話す。
川崎区鈴木町由来は社長名
同研究所は市内の地名の由来を調査研究し後世に残していくとともに、研究結果を講座等の形で市民に伝えていく取り組みも実施している。2019年度の調査結果報告では、川崎区鈴木町の地名は1954年に川崎に移転してきた味の素株式会社に由来することが示されている。「明治41年の創業時には鈴木製薬所、大正6年に鈴木商店、昭和22年に味の素株式会社と社名を変更している。社長の鈴木さんの名前をとって町名とした」とされる。菊地事務局長は「川崎の地名は江戸時代からの村の名前を残したものが多く、新しい地名を付けた例は数少ない」と話す。
これまでの研究に関する資料や、小中学生向けに、地域の歴史を知る読み物としてまとめられた『やさしい川崎の地名(上・下)』(川崎市発行/同研究所編集)は市ウェブサイト(https://www.city.kawasaki.jp/miryoku/category/73-2-4-1-9-0-0-0-0-0.html)で見ることができる。
川崎区・幸区版のローカルニュース最新6件
|
|
|
|
|
|