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川崎区・幸区 人物風土記

公開日:2023.04.21

川崎市立看護大学学長を務める
坂元 昇さん
宮前区在住 70歳

信念貫く強い意志

 ○…「地域包括ケアに資する人材」の育成をコンセプトとする市立看護大学が開学して1年。「人は病院で生きていくのではなくて地域で生きていく」ということを学生に伝えたいという。病院内だけでなく、患者さんが住む地域に目を向けられる人材を育てることに使命感を燃やす。

 ○…医学の道を志したのは父親が被ばく者で、結核を患っていたことに由来する。幼い頃に差別を受けた中、医療関係者だけは分け隔てなく接してくれたことが、ずっと心に残っていた。被ばくの影響についての不安解消のためにも医者になろうと思った。研究職、製薬会社勤務などを経て、1995年に川崎市に入庁。保健所所長になる際、上司に「(ハンセン病患者を隔離する)『らい予防法』だけは守れません」と断言した。公務員が法律を守らないことは禁忌だが、「差別だけは譲れない一線」と気骨ぶりを示す。

 ○…横浜平沼高校時代は演劇部に所属し、OGには俳優・岸惠子さんがいる。実際に会った時には「あまりにきれいで思わず見とれた」と懐かしむ。当時は今でいう「やんちゃ」な生徒で夜中のプールに忍び込んで停学処分を受けたりもしたが、今ではいい思い出だ。大学時代は個人病院に住み込みで掃除、電話番などをして働き、学費から生活費まで全て自活。「割のいい家庭教師のアルバイトなども紹介してもらい、苦学生と言いながらリッチな生活だった」と笑う。

 ○…川崎駅近くに看護の現場をマネジメントする看護管理者の資格取得などを目的とした大学院の3年後の開学を目指し準備を進める。「この仕事を終えたら後は後進に譲り、仏国の昔の仲間の所に1年間くらい遊びに行くんだ」と引退後の楽しみを糧に仕事に励む。

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