川崎市が昨年度実施した「救急業務の効率化に関する実証実験」の結果がまとまり、市がこのほど公表した。救急対応の現場でデジタル技術を導入したところ、病院への情報伝達が効率化され、救急活動時間の短縮効果がみられたという。
救急出場件数が年々増加する中、救急隊の業務を効率化することで、対応可能な救急隊を確保するとともに隊員の負担軽減を図るため、川崎市は昨年度、ICTなどのデジタル技術を使った実証実験を実施した。
実験は、北部3区(宮前、多摩、麻生)の3消防署の13隊と中部2区(中原、高津)の2消防署の7隊と、聖マリアンナ医科大学病院や日本医科大学武蔵小杉病院など10の医療機関が連携して実施した。救急隊が現場に到着してから傷病者の情報を共有のうえ病院を選定し、搬送するまでの業務でタブレット端末を活用したところ、情報伝達がスムーズになり、現場滞在時間を短縮できたという。
北部地区では実験期間中に13隊が延べ3418人を救急搬送し、現場の滞在時間は平均で26・9分だった一方で、期間中の地区内全体の救急事案の滞在時間は平均で27・3分だった。同じく中部地区では7隊が延べ2162人を搬送し、滞在時間は平均で26・1分だった一方で、地区全体の滞在時間は平均で27・1分だった。
データ送信で完了
実験終了後、救急隊と参加医療機関にアンケートを実施した結果、患者の健康保険証の情報を端末で読み込めたり、けがの状態を写真データで共有できたりする点が、「正確さ」の観点で好評だった。
救急隊サイドの評価では、現状では電話で説明している傷病者の情報を、データ送信で一度に共有できる点が「スピードアップになる」と好評だった。医療機関からは、電話で受けた情報を院内で順次、共有している情報をデータで受け取れるため、医師や看護師などが「同時に把握できる」と高評価だった。
市消防局警防部の平山貴至(たかゆき)担当部長は、「端末の操作性などに改善を望む声も多く、操作に慣れればスピードアップも可能。デジタル化することで、救急対応がより速やかになる可能性が高い」と話している。
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