7月1日、バングラデシュで起きた武装グループによる人質立てこもり事件で犠牲となった被害者への追悼集会が5日、田名にあるマサラ(仮礼拝場)で行われた。市内在住のバングラデシュ人7人を含む50人以上の在日ムスリム(イスラム教徒)が追悼と平和を願う祈りを捧げた。
「バングラデシュの発展のために活動する日本人がなぜこんな目に合わないといけないのか」
母国で起きた惨劇を報道で知り、区内の建設会社代表を務めるバングラデシュ出身、モバーク・ホシェーンさん(51)の胸は無念と憤りの感情で溢れた。「なにか自分にできることはないか」と毎週礼拝を行うマサラで追悼の祈りを捧げようと周囲のムスリムに参加を呼び掛けると同時に、バングラデシュ大使館にはコンサートイベントの中止など自粛活動を要請した。
集会にはバングラデシュ、インド、パキスタン、トルコ、アフリカ諸国など各国出身のムスリムが参加。ノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌスさんから事件に対する公式声明も届く中、相模原からテロの犠牲となった日本人を含む被害者へ祈りが捧げられた。
「多額のODA(政府開発援助)によるインフラ整備。日本から多大な支援を受けているのは周知のこと。母国の友人たち、日本にいるバングラデシュ人、みんなが本当に心を痛めています」とモバークさん。自身は高校を卒業後、周囲の反対に遭いながらも日本で結婚。妻と寄り添う日本での暮らしは30年ほどに及ぶ。モバークさんの妻であり、外国人労働者の支援活動を行う高木宣子さんのもとには、事件以来、多くのバングラデシュ人から「私たちの国のせいでごめんなさい」と謝罪の言葉が届く。
事件の実行犯とイスラム系過激派組織「イスラム国」(IS)の関与が疑われ、在日ムスリムへの正しい理解が必要とされる中、モバークさんは語る。「人間はそれぞれ。一部の人の行いでイメージができてしまうのは世界中どこの国でもあること。それよりもまずは起きてしまったことにしっかりと目を向け、考えたい。二度とこんな心痛ましいことが起こらないように」
経済問題だけでなく、与野党対立による複雑な内政問題も抱えるバングラデシュ。モバークさんは「バングラデシュはとにかく早く良くなって欲しいです。お世話になっている日本で、私も誇りをもっていたい」。高木さんは「バングラデシュ人のほとんどは本当に親日家で優しい人。(日本人には)彼らと彼らの国のことをぜひ知って欲しい。心ある人間は繋がっている」と希望を話す。
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