「克己心」の剣道貫く
淵野辺駅南口すぐに位置し、剣道を通じて地域の青少年の健全育成に力を尽くしてきた光武館道場(鹿沼台・茅秋雄館長)が今年3月で創立40周年を迎える。節目を迎えた今もなお、創立時からモットーとする道場訓である「克己心」の心得のもと、多くの道場生が日々の稽古で心身を鍛えている。
同館は淵野辺小学校の剣道指導をしていた茅館長が34歳のときに独立し、私設道場として開いた。当時は剣道ブームも追い風となり、40人ほどが道場の門を叩いた。茅館長は道場生を学年ごとに分け、毎日稽古をつけていたという。道場としては創立3年目に神奈川県の大会で優勝。それ以降、県では上位実績を残す常連の道場となり、全国大会でも優勝剣士を輩出するようになっていった。道場のOB・OGには警察官や自衛官、中学や高校の教職員に進んだ人も多く、その多くが今でも剣道を続けており、各分野で活躍している。こうした道場生たちが大事にしてきたもの、それが道場訓「克己心」だ。
「克己心」とは自制心につながるもので、困難に負けない気持ちを育みたいとの思いから、茅館長が導き出した指導方針の中核とするもの。これまで道場生の保護者らもこの道場訓に賛同する形で道場運営に協力してきた。
現在の道場生は約100人。小中学生が中心だが、社会人も多く、仕事帰りに通う会社員や医師もいる。その中で、国際色があるのも道場の特色の一つ。その一例として、フランスの剣道チームとの交流がある。道場の指導者を務めていた人の縁によるもので、年1回フランスチームが来館し、共に練習に励むといった交流を20年ほど続けている。
道場の運営については、茅館長は今でも稽古場に立つも、現在副館長を務める息子の弘秋さんが中心となって日々の稽古にあたる。40周年を迎えるが、これからも指導スタイルは変わらないことを茅副館長は強調する。「克己心のもとで子どもたちを育てることを貫き、剣道の持つ礼儀作法、立ち振る舞いという文化の部分、そして心の部分を大切にし地域の青少年育成に力を尽くしたい」とし、今後は「目標の一つである日本一をめざしたい」と意気込みを見せる。茅館長は「これからも光武館道場の歴史や伝統を大切に、剣道を通じた青少年の健全育成に努めたい」と思いを込めた。
40年にわたり地域に根ざし、剣道発展を担ってきた同館。これからも「克己心」の道場訓に導かれし道場生たちが後継となり、新たな歴史を紡いでいく。