近年増加する洪水や土砂災害に備えるため、境川流域を含む大野北地区でこのほど、市風水害対策訓練が行われた。洪水と土砂災害の両方の災害を想定した訓練は市内初。訓練では住民が災害時の行動を共有できた一方、避難困難者の誘導や近隣地域との連携面で課題が示されたことから、市、自治会はこの結果に留意し、有効な災害対策に生かしたい考えだ。
2004年に施行された特定都市河川浸水被害対策法により、境川は14年に特定都市河川に指定されている。特定都市河川は市街化が著しい都市部を流れる河川について指定するもので、この河川および流域で浸水被害防止に向けた対策の推進が求められている。
この現状を踏まえ、市はこれまで豪雨による土砂災害を懸念して津久井地域で行ってきた同訓練の対象地区を境川流域が位置する大野北地区に変更。初めて洪水、土砂災害両方での災害を想定し、とりわけ洪水浸水想定区域、土砂災害警戒区域に位置し淵野辺東小学校を避難所とする嶽之内、東嶽之内、ニュー相模、中渕の4自治会に絞って行われた。
当日は初めに、対象地区の住民に対し「避難準備・高齢者等避難開始」を呼びかけるひばり放送から訓練がスタート。避難訓練では地区内の高齢者施設の協力のもと、車いすの施設利用者を自力避難が困難とされる要配慮者に見立て、市職員の指示で地域住民が避難所へと誘導。坂道を上る際は複数人で押すなど力を要する場面も見られた。
マイタイムラインも作成
小学校に参加者全員の避難が完了した後は、自治会ごとにグループを形成。図面を使って避難経路を振り返るワークショップを実施した。河川が氾濫した際の浸水想定区域や避難所を示すハザードマップに照らし、避難経路上で自宅の位置を確認したり、さらに有効な避難経路の可能性を模索するなどアイデアを出し合った。災害時に取るべき行動計画・マイタイムラインづくりでは今年度から市が作成したタイムラインをひな型にし、「高齢者世帯と犬」、「4人家族」の2パターンでそれぞれ検討。今年5月から避難情報や、防災気象情報に追加されることになった、危険度に応じた5段階の警戒レベルも考慮した上で、考えられる対策についてそれぞれ議論し合い、練り上げていった。
参加者は親子連れ、ペット連れ、車いすの利用者など多岐にわたった。訓練では、「(マイタイムラインで)避難行動が明確になった」や「避難などの災害対策を皆で確認、共有できて良かった」との声が上がった一方、「坂道で車いすの方を押して避難するのは難しい」や「近隣地域の人と連携して避難することも必要」といった声も聞かれた。
訓練には住民、行政、消防団ら約120人が参加。県議、市議も視察に訪れるなど注目度の高さがうかがえた。大野北自治会連合会の山口信郎会長は「避難時の要配慮者などへの対応など難しい点も洗い出せた。(台風シーズンを前に)意識して、この課題を次の訓練に生かしたい」と話し、今後に向けた決意を示した。
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