清新に実家のある力士、「露草」こと露草和樹さん(25・大嶽部屋)が3段目6枚目で挑んだ9月場所を4勝3敗と勝ち越し、11月場所での幕下入りが濃厚となった。「決まれば3度目の幕下。今回は勝ち越したい」と露草さんは意気込んでいる。
ポーランド人の父と日本人の母を持つ露草さんは神奈川県内で生まれたのち、5歳からポーランドへ移住。中学入学前に日本へと帰国し、清新で家族と共に暮らし始めたのだという。
当時はサッカー少年。幼い頃に始め、俊足のディフェンダーとして活躍。その中で、サッカーに役立つ体力をつけたいと緑区橋本にあるジムでキックボクシングを習ったことが格闘技に触れる初めての機会だったと露草さんは振り返る。
大学を中退
転機が訪れたのは大学入学後。高校時代もサッカーを続け、大学でも「守備の要」として活躍する中、「大学を卒業しサラリーマンになるといった日本の一般的な道を歩きたくない」という思いを抱くようになったのだという。
そんな考えが頭に浮かぶようになると大学で学び続ける意欲は薄れ、学校を中退。その時、仕事のためポーランドへ行っていた父と妹のところへ向かい、現地で「今後の道」を模索するようにしたのだという。
その中で見つけたのが大相撲の道だった。今後を模索する中で心身を磨きたいと筋トレなどのトレーニングを始めると、次第に得た力の「表現できる場」を求めるように。中学生の時に習ったキックボクシングなども選択肢として浮かんだものの、当初からプロとして取り組める相撲にチャレンジすることを決めたのだという。
「経験はなかったのですが、幼い頃憧れた、ヨーロッパ出身力士のようになりたいと思ったんです。『体験』を経て今の部屋でお世話になるようになりました」
16年に初場所
選んだのは、元横綱、大鵬の血を継ぐ名門「大嶽部屋」。2016年に入門し、同年に初土俵を踏むと、相撲未経験者だったにも関わらず、180センチ120キロ強の身体を「大きく」しながらサッカーで鍛えた瞬発力を武器に、押し出す相撲で白星を重ねていった。
17年には、幕下へ初昇進。勢いそのままに元十両などが名を連ねる幕下での活躍を期したものの、そこで壁に当たることになったのだという。持ち前のパワーが通用せず、技術不足が露呈したのだ。
「跳ね返されました。再度、幕下に上がったのですが、その時も通用しませんでした」
それでも元々、生真面目な性格の露草さんは地道に稽古を重ねていき、更に20キロ以上増量したパワーを身につけると今年に入り、7、9月場所で連続の勝ち越し。未来へと希望をつないだ。
今月末に番付発表
11月場所の番付発表は今月26日。「今回こそ勝ち残りたい」と露草さん。女将さんとして見守り続けてきた佐藤あゆみさんは「物静かで闘志を内に秘めている子。何事にも動じず我が道を行くタイプ」と露草さんを評し、「2場所連続して勝ち越した。このまま駆け上がってもらいたい」と期待を寄せている。