さがみはら中央区 社会
公開日:2025.09.25
戦没者慰霊祭
新たな形 模索
毎年10月に行われる「相模原市戦没者合同慰霊祭」が戦後80年を迎え、新たな慰霊の形を模索している――。
同慰霊祭は相模原市と相模原市戦没者遺族会(河本文雄会長)による共催。遺族会の会員のほか、地元選出の議員や団体の関係者ら来賓が参加し、戦没者を追悼する。戦後80年、遺族会の会員も減少する中、次世代にどう引き継ぐかが大きな課題となっている。
遺族の高齢化
「遺族の高齢化が進み、全国各地の遺族会と同様に会員の減少と活動の担い手不足の課題に直面している」。河本会長はそう話す。同遺族会の会員は2024年時点で766人。近年は毎年50人ほど減っている。こうした事態を踏まえ、遺族会は大きな転換期を迎えている。
学生も参加
2023年からは相模女子大学と桜美林大学など14校に協力を呼びかけ、これに応じた学生が受付や進行役、平和の誓いを述べるなど、運営に携わる新たな取り組みも始まった。
市民も献花
10月11日(土)に相模原市民会館ホール(中央区中央)で行う同慰霊祭では、市民も献花し戦没者を追悼することができる。これまでも参列可能だったが、ホームページ内に誰でも参列できることが明示された。
「先の大戦で亡くなられた方々が私たちに伝えたいことは、戦争の悲惨さと平和の尊さだと考えます。その思いを次世代へ伝える責務が私たちにはあります」と言う河本会長。変容の背景には、戦争の記憶を風化させないという思い、そして遺族会活動の担い手不足解消という意味深い2つの理由がある。
AIで語り継ぐ被爆の記憶
慰霊祭は2部制で午前9時30分から正午まで。1部(9時30分〜10時30分)では、戦争の記憶風化防止のために神奈川県が取り組む「AI語り部」が被爆の記憶を語る。
戦後80年を迎え県は、高齢になった体験者の記憶や平和への思いを将来に残すため、デジタル技術に活路を見いだした。
長崎で被爆した男性の体験談を収録。質問すると約130通りの中から適した回答が、語り部本人が話しているような映像と音声で流れる。
2部(11時〜正午)の式典では今年も学生が運営をサポートする。戦没者芳名録奉安から始まり、黙とう、国歌斉唱、追悼の言葉、平和の誓いなどの後、献花があり、そして戦没者芳名録を降納し式典を終える。
慰霊祭への参列に関する問い合わせは市生活福祉課【電話】042・851・3170。
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