さがみはら中央区 社会
公開日:2025.11.13
地域課題解決へ結束深める
弁護士会×土地家屋調査士会
市民が境界トラブルなく安心して住み暮らせるよう、綿密な連携を――。神奈川県土地家屋調査士会相模原支部(梅津賢一支部長)と神奈川県弁護士会相模原支部(藤田寛之支部長)が11月7日、杜のホールはしもとで合同勉強会を行った=写真。両支部の会員20人ほどが集まり、今後の連携強化に向けて情報を交換し交流を深めた。
土地家屋調査士は、土地や建物の調査・測量・境界確認などを行う国家資格。相模原支部では情報交換や資質向上のため、支部内で定期的に勉強会を実施している。今回はより幅広い情報交換に加え、弁護士とより速く綿密に連携できる関係構築のきっかけとして合同開催が企画されたという。
勉強会では▽境界トラブルを未然に防ぐには▽相続登記義務化と地域の課題▽測量・登記・法務業界におけるデジタル化▽地域の専門家ネットワークとしての役割―の4つのテーマに沿ってグループごとにディスカッションを実施。日頃の業務における疑問点や事例ごとの対処などを共有・議論した。
藤田支部長は「ネット・AIが発達してもそこで調べられるのはあくまで公開情報。『現場の実態』は公開情報には乗っていない。やはり生きた情報は知人を通じてでないと得られないものであり、特に弁護士の場合には生きた情報こそが紛争を解決する力になる。交流会は両士業の研修になると同時に、紛争の防止や解決へ向けた地域の課題解決力向上にも意義があるものと感じた」と振り返った。
不動産の境界トラブルに注意
梅津支部長によると、2024年4月1日に相続登記が義務化されたことにより、これまで登記をせずにいた未登記建物の「建物表題登記」の依頼が増えているという。相続登記をするには前提として、相続すべき建物が『どこにありどんなつくりで誰のものであるか』を示す建物表題登記が必要であるためだ。
また、相続におけるトラブルというと相続人の間での紛争が注目されがちだが、不動産に関して注意が必要なのが「境界トラブル」。相続することになった不動産について隣の土地との境界が確定していない場合などに、隣人との間で発生するトラブルのことだ。調停や訴訟まで進んでしまうと費用も時間もかかり、生活面への影響は小さくないという。
梅津支部長は「境界トラブルを未然に防ぐのが土地家屋調査士。話し合いでお互いが納得できる可能性が残っている場合もある。逆に紛争においては弁護士の分野。所有する土地に存する建物が登記されているかどうか今一度確認していただき、されていない場合は土地家屋調査士にご相談いただきたい」と市民に呼びかけている。
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