第9回フランツ・リスト国際ピアノコンクールで優勝した 後藤 正孝さん 南区相模大野在住 26歳
審査員も感涙”圧巻”のリスト
○…3年に1度、オランダのユトレヒトで開催される「ピアノの魔術師」の名を冠した、世界各国の若手演奏家の登竜門。決勝の大舞台では「ピアノ協奏曲第1番」を奏でた。今年のフィギュアスケート世界選手権で日本人2個目の銀メダルを得た小塚崇彦選手が、自由演技で舞った曲だ。リスト生誕200年の記念すべき年、2人目の日本人優勝者として名を刻んだ。
○…愛知県安城市出身。自宅にあった小さなピアノで遊ぶうち、4歳で習い始めた。難しい課題を「弾けるようになりたい!」と発奮し、楽しむ日々。小学校3年生で、ベートーベンのピアノソナタを弾くほどに。小中学校の合唱コンクールでは、常に伴奏係に推薦された。「一回くらいは歌ってみたかったかも」と振り返る。中学生で国際コンクールに初挑戦し、見事入賞。以来、国内外のコンクールでの受賞を重ね、10代のうちに海外でオーケストラとの共演も経験した。その一方、「ピアノだけでなくもっと幅広いことに触れたい」と、高校までは普通校に通った。
○…「居心地が良い」相模大野に4年ほど住む。今年3月、昭和音楽大学大学院(川崎市麻生区)を修了した。演奏家として「誰かのようになりたい、という思いは、今も、これからもない」と断言。目指すのは「作品に込められた思いをしっかり聴衆に届ける演奏。そのために、常に怠りなく準備したい」。
○…同コンクールへの参加は、6年前以来、2度目。「もう一度しっかりリストと向き合いたい」と、再挑戦を決めた。予選から3回の本番で、「超絶技巧」「難曲」の代名詞である作品を全部で10曲以上披露した。準備期間は、趣味の読書も「リストに関するものばかり」に。「全ステージで泣いた」という審査員もいた演奏は、見事、聴衆賞・ジュニア審査員賞を受け、オランダでも話題を呼んだ。
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