愛好会「相模の蝶を語る会」代表 岩野 秀俊さん 南区御園在住 59歳
蝶が告げる”神奈川”の自然
○…草花に憩い、優雅に舞うその姿を、会員と共に追い続けて25年が経った。生態を記録し観察。機関紙を作るだけでなく、学会などの場で報告してきた。都心部もあれば、旧津久井町周辺のような山間部もあり、相模湾をのぞむ沿岸部もある神奈川。「この面積の規模で、これだけ自然の変化に富んでいる県もないです」。しかし、ここ神奈川でも絶滅危惧種は年々、多くなっているという。自然の有り様が変化していることは、蝶が教えてくれる。
○…東京の赤羽に生まれる。まだ昆虫採集をする自然の遊び場が、少年たちに残されていた。都内の高校に進学。そこで、生物室に陳列されていた標本に釘づけにされる。「もう本当にその蝶が欲しくてたまらなくて」。その年の夏休みに、福島県の猪苗代湖(いなわしろこ)まで”孔雀(クジャク)蝶”の採集に出かけた。大学生時代、土日には決まって夜行列車を利用し、日本全国探し回った。
○…大学の教壇に立って30年。環境に優しい害虫防除のあり方を研究している。ゼミでは50名近くの生徒を抱え、講義では昆虫の体の仕組みを生きいきと語る。”生き物”以外にはまっているのはボウリング。アベレージは200手前、最高スコアは何と299。夜中でもかまわず、市内のボウリング場に通う。
○…市内で今、探している蝶がいる。鮮やかな青色の羽を持つ”ミドリシジミ”。「きっといます」。町田での生息が確認され、エサにしているハンノキが市内にもあることがわかった。キアゲハはパセリ、モンシロチョウはキャベツ。実は、蝶によりエサは異なる。相模原市史の編纂(へんさん)に携わった際、加山俊夫市長にその事を伝えた。この貴重な蝶を市民と探索しようと、市では現在、企画をしているとか。多種の蝶が生息していればいるほど、それだけ多様で豊かな自然がその場所に存在していることを意味する。”蝶を求め、調査を続けていくこと”。単なるロマン以上の何かに繋がっている。
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