ゴールデンウィーク恒例の名物イベント『相模の大凧まつり』が5月4日(月・祝)、5日(火・祝)、相模川新磯(あらいそ)地区河川敷(南区新戸(しんど)・磯部地先(じさき))の4会場で開催される。両日とも午前10時から午後4時まで。同まつり実行委員会(吉澤美芳(みよし)実行委員長)が主催する。今年の題字は「隼風」(はやかぜ)。100人がかりの大凧が、風薫る5月の空へ舞い上がる。
相模川河川敷 4会場一斉に
天保(てんぽう)年間(1830年頃)から始まったと伝えられる相模の大凧は、180年以上にわたり受け継がれてきた相模原市の伝統行事のひとつだ。会員数およそ500人からなる「相模の大凧文化保存会」をはじめとする地域の人々の努力によって、その文化は維持されている。昨年は2日間で4会場、のべ17万人の見物客が訪れた。
今年も新戸会場(新戸スポーツ広場)、勝坂会場(同)、下磯部会場(磯部頭首工(とうしゅこう)下流)、そして上磯部会場(三段の滝下広場)の4カ所で凧が揚げられる。凧の大きさは各会場により異なり、新戸は8間四方(1間=約1・8m)、勝坂は5・5間四方、下磯部、上磯部は6間四方となっている。
新戸会場では、4会場で最大の8間凧を揚げる。14・5m四方、重量は約950kgで、引き綱の太さは直径3〜4cm、長さは約200mに及ぶ。毎年揚げられるものとしては「日本一の大きさを誇る」と言われており、揚げるためには80人から100人の人員と、風速10〜15mの風が必要とされる。昨年は14分23秒の滞空を記録。2002年の6時間7分55秒が同会場の最長滞空記録だ。昨年は下磯部会場で揚げられた6間凧の2時間10分が、4会場の中で最長だった。
「はやぶさ」に思い馳せ
凧の題字には毎年、その時々の世相を反映したものが、公募によって選出される。今年は「隼風」に決定。「小惑星探査機『はやぶさ2』の打ち上げ成功を喜び、5年後の地球への帰還を祈願するとともに、幾多の困難を乗り越えた初代『はやぶさ』のように宇宙の彼方まで相模原市が躍進し、人々に夢と希望を与える一年であってほしい」という思いが込められたものだ。昨年末に公募し、今年1月に138点の中から選ばれた。漢字2字を、右上に「太陽」の赤、左下に「大地」の緑を表した色で書く。
文化遺産「細川紙」
大凧の材料は竹と和紙。凧づくりは例年、10月頃から始められる。骨組みとなる竹は、生えて3年目くらいのものを選定する。「バランスの合う竹を選んで組み合わせるのが大変」と同まつり実行委員長の吉澤さんは話す。そして、できあがった骨組みに、和紙を紐で結わきつけていく。
相模の大凧では、凧紙に埼玉県東秩父村で作られる和紙を使っている。この和紙は「細川紙」と呼ばれる。吉澤さんは、「細川紙は風受けがいい。風が逃げない。なおかつ丈夫で、厚すぎず薄すぎず大凧に合わせた紙にしてくれている」と話す。
伝統的な手漉(てす)き和紙として知られる細川紙は国の重要無形文化財に指定されており、昨年11月には島根県の石州半紙(せきしゅうばんし)、岐阜県の本美濃紙(ほんみのし)と併せ「和紙:日本の手漉和紙技術」としてユネスコ(国連教育科学文化機関)無形文化遺産に登録された。
揚がれば歓喜
毎年、同保存会の会員らが、現場で風の状況を見ながら大凧揚げに挑む。うまくいくかどうかは、当日の風次第だ。凧が揚がればそこには歓喜の声が響く。会員らは、受け継いだ地域の誇りを大空高く掲げ、思いを未来へとつないでいく。
無料巡回バス
まつりの期間中は、午前10時から午後4時までの間、JR相模線相武台下駅から大凧センター〜上磯部会場〜下磯部会場〜新戸・勝坂会場〜相武台下駅を巡回する無料のバスが運行される。
イベントに関する問い合わせは相模原市コールセンター【電話】042・770・7777へ(5月5日まで)。
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